郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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鶴岡市長選 衆院選県3区
立候補予定者の動きが本格化
告示・任期満了まで3カ月切る

 任期満了に伴う鶴岡市長選挙(10月10日投開票)は10月3日の告示まで2カ月余りに迫った。無所属で再選を目指す現職の皆川治氏(46)と、同じく無所属で自民党前県議の佐藤聡氏(53)の2人が立候補を表明。両氏による一騎打ちの公算が強まっている。一方、次期衆議院議員選挙(10月21日任期満了)山形3区では、自民党現職で3選を目指す加藤鮎子氏(42)と、日本共産党新人で党鶴岡地区常任委員の梅木威氏(62)が立候補の意思を明らかにしている。両氏は支持拡大に向けた動きを本格化させているが、非自民勢力などが候補者の擁立を目指しており、まだ流動的な面も残っている。(本紙取材班)

鶴岡市長選挙   陣営分裂、支持関係が混迷

 鶴岡市長選は、ここに至って選挙の構図が分かりにくく混迷してきた。前回の選挙で皆川氏の初当選に貢献した「庄内の明日を考える会」(会長・小野由夫鶴岡市議)が今回は陣営を離れ、各会員の自主対応とすると決めたことが背景にある。
 考える会の構成団体の一つ、市議会与党会派の市民クラブ(代表・同市議、4人)も「市長選には関与しない」としている。
 さらに考える会の小野木覺代表顧問や黒井德夫顧問が、対立候補の佐藤聡氏の応援に転じる、というねじれ現象まで生じている。小野木代表顧問が7月上旬に出した文書などによると、考える会は皆川治後援会(会長・村上龍男加茂水族館名誉館長)と協力して選挙に臨むことで、4月上旬には合意していた。しかし、選挙の活動方針を巡って亀裂が生まれたという。
 村上龍男・皆川治後援会長は「我々は小野木さんたちともめたとは考えていない。いろんな考え方や見方がある。(小野木代表顧問の)文書に書かれた内容について私から言うことは何も無い」と静観する。
 佐藤氏を支援する市議会自民党系会派・新政クラブの市議は、小野木代表顧問らの動きを「彼らと一緒にやるつもりは毛頭ないが、勝手に応援してくれることはありがたい」と歓迎する。別の市議は「安易に期待するのはどうか。回ってみると現職はやはり強い。まずは地道に知名度を上げるべき」と警戒した。
 皆川治後援会では、半年前から小学校区単位で後援会支部の開設に着手し、これまでに計24支部を開設した。後援会員は現在7千~8千人で、1万5千人を目標に拡大を図る。一人一人との対話を基本に、団体、企業の支援も受けながら、4年間の実績と対話の市政の継続を訴えていく。活動は8月以降に本格化させる。
 皆川氏は後援会支部ごとに市政報告会を開き、意見を交換してきた。保守系を含む元市議十数人との懇談会を31日に開く。

連合山形が佐藤氏支援も

 こうした中で注目されるのは、考える会の構成団体でもある連合山形鶴岡田川地域協議会の対応。佐藤氏は6月中に、皆川氏は7月9日に連合山形の山形本部を訪問し、それぞれ支援、推薦を求めた。
 同協議会は山形本部の指示で27日に皆川氏、28日に佐藤氏を招き、三役による面談を行った。労働組合や市職員、人口減少問題への対応で考え方をただし、面談の結果を基に山形本部と協議した上で、8月6日までに態度を決める。
 通常であれば、自民党籍を持つ佐藤氏の支援はあり得ない。しかし、佐藤氏が無所属で市民党を掲げていることから、舟山康江氏が3選を目指す来年7月の参院選で、少なくとも中立を保つことを前提に支持か支援の可能性はあるという。

公約の詳細は9月発表

 佐藤聡氏は県議を2日に辞職し、市長選への準備を本格化させた。企業や団体を積極的に訪れ、これまでに100件以上の推薦を取り付けている。
 政党の公認や推薦を受けずに無所属で活動するが、新政クラブと鶴岡市議会公明党の市議が支援し、加藤鮎子氏の応援も受ける。今後はミニ集会や演説会を開くなどして各地域への浸透を図る。
 佐藤氏は本紙の取材に応え、皆川市政の4年間を「コロナ禍という困難な状況下で一生懸命にやっている」と評価する一方、「プレミアム付き飲食券の発行やワクチンの予約などで、市民に混乱や不公平感が広がった。市のリード役として市役所内をまとめられていないように見える」と指摘する。
 さらに「まちづくりや産業育成など、コロナ禍後の具体的なビジョンが見えない。悪化している市の財政も心配。コロナ禍による税収減や合併優遇策が無くなるなど、財政の見通しは厳しくなると思われるが、コロナ禍前から単年度赤字を出し、財政調整基金を取り崩している。民間企業であれば経営責任が問われる」と批判した。
 佐藤氏は公約に、学校教育の充実や出産と子育て支援、農水産品のブランド化、格安航空会社の再就航、先端産業技術の活用、インフラ整備などを掲げ、詳細を9月に発表する予定。
 市内の主だった団体の市長選対応状況は、鶴岡市農業協同組合(佐藤茂一代表理事組合長)と庄内たがわ農業協同組合(太田政士代表理事組合長)が「どちらにも推薦は出さない」と中立を決めている。
 前回市長選で現職の榎本政規氏を推薦した山形県建設業協会鶴岡支部(支部長・五十嵐久廣鶴岡建設㈱代表取締役)は「推薦依頼はまだどこからも受け取っていない」と答えた。

衆議院議員選挙   構図確定にはなお時間

 衆院山形3区では今のところ、自民党現職の加藤鮎子氏と、日本共産党山形県委員会が2020年1月に擁立を決めた新人の梅木威氏が立候補を予定している。
 一方で舟山康江、芳賀道也の両県選出参院議員、立憲民主党・国民民主党の県連と連合山形、無所属議員などでつくる非自民の5者会議は、県内全区で野党統一候補を擁立するとし、山形2区では国民民主党公認の加藤健一氏(40)を擁立。
 山形1区と3区は、立憲民主党公認の候補者を擁立する方向で作業を進め、山形1区では同党幹事長で県議の原田和広氏(48)を擁立した。3区では現在も候補者の擁立を模索している。
 加藤鮎子氏の政治姿勢や地元への貢献度の低さなどに不満を持つ経済人などの一部勢力も、5者会議との連携を視野に候補者の擁立作業を進めており、戦いの構図が固まるまでには、なお時間がかかりそうだ。
 3区の立候補者が決まらない現状に立憲民主党県連代表の石黒覚県議は「山形1区と3区は立憲民主党で擁立する、という話が一人歩きしていた面もあるが、もともと5者会議として候補者の擁立作業を進めてきたもの。最後は責任をとって自分が出るというような話にはならない」と言う。
 舟山康江参院議員は「立憲民主党を中心に5者会議として候補者の擁立を模索している、という点は最初から変わっていない。現段階は立民の公認にはこだわらず、みんなが乗れる人の擁立に努力している。5者会議以外の動きもあり、そことの連携もできるのか、動きをにらみながらやってきたため時間が掛かった面もある。5者会議としてそれぞれが手持ちの札を出しながら、連携を密にして進めている。候補者擁立の期限をいつまでと具体的には考えていない」と説明した。
 山形1区と3区で独自候補を擁立している共産党については「5者会議も共産党も双方の思いがあるが、最終的に何らかの調整をするために協議はしている」と話した。

梅木氏を野党統一候補に

 梅木威氏は20年1月25日の立候補表明以来、街頭演説や党支持者中心の集会などで党の政策を訴えてきた。平日は同党鶴岡市議団5人と、土日は鶴岡市区選出の関徹県議と鶴岡市役所前などで街頭演説している。
 梅木氏は、今月25日に出羽庄内国際村で開いた鶴岡市議団の市議選必勝激励会後に、野党統一候補の擁立を探っている5者会議の動きを問われ、「(自分は)やるべきことをやるだけ」と答えた。選挙事務所は鶴岡市美原町の同党鶴岡地区委員会事務所2階に開く予定だが、事務所開きや決起集会の日程は25日現在未定。
 梅木氏は本紙の取材に「コロナ禍における安倍・菅政権の対応が争点になる。無党派層にはSNS(会員制交流サイト)を使って支持を広げたい」と話した。
 本間和也・日本共産党山形県委員会委員長は「県委員会として最低1人は候補者を出す。山形1~3区の野党共闘には、5者会議側と意見交換をしている最中。山形3区は梅木氏を野党統一候補にしてほしいと、さまざまな形で5者会議側に伝えている」と話した。

準備進むも国政の影響懸念

 加藤鮎子氏は酒田飽海地区後援会選対準備会議を7月16日に酒田市のガーデンパレスみずほで、鶴岡田川地区後援会選対準備会議を同月27日に鶴岡市の精三会館で開き、両地区の選対組織案や活動内容などを協議した。新庄最上地区後援会選対準備会議の開催日時は未定。
 酒田飽海、鶴岡田川、新庄最上の3地区ごとの選対組織は、今後資金管理団体・地域政策研究会の酒田飽海支部や鶴岡田川支部の3役と常任理事会、山形3区内にある自民党の各地域支部の代表者による会合などを経て、正式に設立する予定。
 関連して自民党は同党山形県第3選挙区支部支部長・幹事長会議を、8月3日に三川町のなの花ホールで開く。山形3区の全地域支部の支部長と幹事長、同地区選出県議らが出席し、加藤氏が決意を述べ、支援を要請する予定。
 通常国会が6月16日に終わった後、週末を中心に3区入りし、7月1日からは地元に戻っている。平日は後援会の会員企業、土日は後援会の個人会員を回り、支持を訴えてきた。
 7月16日の酒田飽海地区後援会選対準備会議には、3役と常任幹事、幹事の計約35人が出席した。加藤氏は「酒田飽海地区、山形3区のための仕事を続けていきたい。議席を預からせていただくため、過去2度の選挙に輪をかけた力強い支援をお願いしたい」と結束を訴えた。
 加藤氏に近い複数の陣営関係者たちは「自民党への逆風が、加藤氏に対する厳しい声や不満につながっている。無党派層だけでなく、自民党支持者からも批判の声が出ており、国政の影響は地元にも相当程度あるのではないかと危惧している」と口をそろえる。
 背景には、ワクチン接種を含む新型コロナ感染対策や東京五輪への対応、参院選の大型買収事件など政治とカネに絡む一連の不祥事などで、政権与党への批判が高まっていることがある。
 ある陣営関係者は「1月の山形県知事選で推薦候補が大敗した影響も不安材料。今回は自民党におきゅうを据えた方が良いと考える有権者が増える可能性がある」と危機感を隠さない。


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