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酒田港 自動車積出港へ検討本格化
トヨタ系生産工場の宮城県立地で

 トヨタ自動車系のセントラル自動車(株)(神奈川県相模原市)が宮城県大衡村で二年後に操業することから、酒田港をロシアなど対岸向けの完成車・部品の積み出し港として利用してもらうための検討が、山形県を中心に本格化してきた。県などは五月末に官民でつくる「県自動車産業物流活性化推進会議」を新設し、実現に向けた戦略をまとめるが、乗り越えるべき課題は多い。(編集主幹・菅原宏之)=2面に関連記事


県物流推進会議を設置へ

 県商業経済交流課では、委員の選考を進めるなど、推進会議の設立に向けた詳細を詰めている。同会議では酒田港を中心とした物流の現状、課題やその解決策などを検討し、最終的に積み出し港として利用してもらうための戦略を固める。
 県が動き出した背景には、車体組立メーカーのセントラル自動車が、大衡村に本社と工場を移転し、平成二十二年から操業するという事情がある。その結果、トヨタグループの東北での生産規模は、関東自動車工業(株)岩手工場(岩手県金ケ崎町)と合わせ、年間五十万台体制が整う。生産台数を増やすのは、経済成長で自動車需要が急増しているロシアや中国への輸出をにらんだもの、との見方もある。
 こうした動きを受け、県は今年度から新たに県庁内の商業経済交流課と交通政策課に、物流戦略担当者を二人ずつ配置するなど、組織体制を強化。これと連動し、酒田商工会議所(斎藤成徳会頭)でも本年度事業計画に、新規事業として「セントラル自動車などで生産される製品の積み出し港の実現」を盛り込んだ。


酒田港ルートは課題山積

 関係者の話を総合すると、セントラル自動車の新工場と酒田港を結ぶ方法としては、製品を▼国道47号をトレーラーで輸送する▼JR陸羽東・西線などを使い貨物列車で運ぶ―の二つが想定されている。
 どちらの方法で輸送したとしても、新工場から日本海側の港までの距離では、酒田港が最も近いといわれる。高橋清貴・酒田市商工観光部長も「酒田港の地理的な優位性を企業側に訴えていきたい」と言う。酒田北港には、約五千台の完成車を置くスペースがある点を強調する声もある。
 だが、大衡村―酒田間の物流ルートには課題も多い。国道47号は、宮城と山形の県境区間や最上峡沿いの道路幅が狭くカーブも多いため、定時性・安全性の確保が難しいとの指摘がある。
 一方の陸羽東・西線は、JR貨物が同路線の営業免許をJR東日本に申請しておらず、貨物列車を運行していない。そのため鉄道輸送の場合は、JR貨物の宮城野駅(仙台市)から東北本線で隅田川駅(東京都)まで南下し、上越線などを経由して羽越本線で酒田港駅に運ぶことになる。
 運賃は五トン当たり一万七千円で、宮城野駅から秋田貨物駅(秋田市)までの同二万五百円を三千五百円下回る。しかし輸送に要する日数は、宮城野駅―秋田貨物駅間が一〜二日に対し、宮城野駅―酒田港駅間は三日かかる。


県 インフラ整備に慎重

 酒田港の利用が実現すれば、各自動車メーカーの製品積み出し港、陸揚げ港となる可能性も出てくる。また、車体組立工場や部品メーカーなどを誘致する足掛かりにもなる。そのためには、道路、鉄道、港湾を一体的に活用するためのインフラ整備が欠かせない。
 しかし、県商業経済交流課の物流戦略担当者は「インフラ整備については、トヨタが東北での物流計画をどう考えているのかを見極める必要がある」と慎重な姿勢を崩していない。


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