郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
Community News Web Site

鶴岡市決算2017年度
初の実質単年度赤字に
財政諸指標の改善傾向は続く

 鶴岡市の2017年度普通会計歳入歳出決算は、実質収支で約21億円の黒字を維持したものの、単年度収支は約19億円の赤字、これに財政調整基金(貯金)への積み立てや市債(借金)の繰上償還(返済)を加味した実質単年度収支も約9億円の赤字となった。実質単年度収支の赤字は合併後初めて。歳入(収入)が減ったにもかかわらず、市文化会館の建設費や除雪費などで歳出(支出)が大幅に増えたことが要因。一時的な現象か、予兆的な現象か、今後が注目される。各種積立金(貯金)の総額は前年度比約13億円増えた半面、市債(借金)も同約22億円増えた。財政の健全度を計る諸指標はおおむね改善が続いている。(編集委員・後藤悟)

表

実質収支21億円台と半減

 一般会計に休日夜間診療所特別会計と墓園事業特別会計を加えた17年度普通会計決算の概要と主な財政指標、積立金と市債の状況は表1〜3の通り。
 歳入総額は739億9218万円で前年度比17億3174万円2・4%増、歳出総額は717億382万円で同36億4850万円5・4%増と膨らみ、決算額は合併後最大となった。
 歳入総額から歳出総額を差し引いた形式収支は22億8835万円で同19億1675万円45・6%減。形式収支から次年度へ繰り越すべき財源1億5681万円を差し引いた実質収支は21億3154万円で同19億1740万円47・4%減。いずれも前年度比ほぼ半減したが、黒字水準は高い。
 実質収支から前年度の実質収支を差し引いた単年度収支はマイナス19億1740万円で同13億5259万円減。単年度収支に、黒字に当たる財政調整基金積立金と取崩額、市債繰上償還金(元金返済分)を加除した実質単年度収支はマイナス8億9451万円で、同12億5342万円減。
 実質単年度収支の計算に用いる貯金は財政調整基金に限られるが、17年度はこのほか市債の計画的償還に活用する減債基金に3億4322万円、公共施設整備基金に6億9461万円、計10億3783万円を積み立てた。実質単年度収支にこれらを加えると、1億4332万円の黒字になる。このため、市では今回の赤字をそれほど問題視してはいない。
 しかし、合併特例期間が15年度に終了し、普通交付税の優遇加算は段階的に縮小し、21年度には一般の自治体と同じ算定方式に戻る。15年度の縮減額は2億3403万円、17年度は6億1502万円に上り、今後はさらに拡大する。普通交付税を主とする地方交付税に財源の3割を依存する市の財政構造の中で、財源の確保が厳しくなることは否めない。
 一方、建設費の大幅な増額で市民の痛烈な批判を浴びた市文化会館は完成したが、ごみ焼却施設や最終処分場の建設など、今後も大型投資事業が控えている。焼却施設などは財源の約3割に国の交付金(補助金)を充てるが、残り7割は合併特例債や一般廃棄物処理事業債など比較的有利な起債(借金)を含む自前の財源で賄う必要がある。
 また、人口減少が進んで税収などが減る可能性は高いが、公共施設や道路、橋梁の老朽化、災害への備えは先送りできない。今後は積立金の活用も検討する。


積立金残高は185億円に

 決算剰余金の集積に当たる各種積立金の総額は185億2191万円で前年度比13億4241万円7・8 %増加した。5年前の12年度比では1・7倍になる。主な内訳は、財政調整基金が50億5555万円で同2610万円0・5%増、減債基金が45億1685万円で同3億4322万円8・2%増、公共施設整備基金が25億2061万円で同6億9461万円38・0%増。
 財政調整基金は当初目標とした40億円をはるかに超え、14年度に50億円に迫ったことから、15年度以降は利息以外の新たな積み立てを止めた。減債基金も、新たな積み立ては行わず、繰上償還の財源として取り崩しを検討する。預金と貸付金の金利差によっては、ためるより借金を減らした方が資金の有効活用になる場合がある。残高は20億円を下回らない程度に維持する。
 決算剰余金は今後も半分以上を積立金の積み立てと繰上償還に活用し、このうち6割を積み立てに、4割を償還に割り当てる。積立金は公共施設整備基金と、皆川治市長の公約に基づく「地域まちづくり未来基金」(まちづくり基金)で、等分に配分する。いずれも積み立てと取り崩しを並行するなど柔軟に活用する。公共施設整備基金は10億円を下回らない程度に維持する。
 市債の繰上償還額は9億9678万円で、同9232万円10・2%増。ここ3年は毎年度10億円近い額を償還に充てている。
 しかし、17年度は市文化会館整備事業で39億2400万円、鶴岡第三中学校改築事業で15億6700万円と、新規の大きな借り入れが生じたこともあり、市債残高は748億8037万円で、同21億7061万円3・0%増と2年ぶりに増えた。
 市債残高の内訳は、交付税措置率(国の実質負担率)100%の臨時財政対策債が257億1977万円(構成比34・5%)、同70%の合併特例債が289億7884万円(同38・9%)、計546億9862万円(同73・4%)を占めている。


自主財源比率を除き改善

 財政の健全度を計る財政諸指標は引き続き改善傾向にある。国が自治体に財政健全化計画の策定を義務付ける際の目安となる財政健全化判断比率は、病院や上下水道事業などの公営企業や一部事務組合の負債を含む実質公債費が標準財政規模に占める割合で、資金繰りの危険度を表す実質公債費比率は7・2%で同0・7ポイント改善。
 実質公債費に第三セクターの債務に対する債務保証や損失補償などを加えた市の将来負担が標準財政規模に占める割合で、将来の財政を圧迫する可能性を表す将来負担比率は54・7%で同6・5ポイント改善。
 人件費や扶助費、公債費など任意に削ることができない固定的な経費が、税収など経常一般財源に占める割合のことで、財政構造の弾力性、自由度を判断する経常収支比率は89・1%で、前期比0・3ポイント改善。基準財政需要額に対する基準財政収入額の割合で、自治体の財政の余裕度を表す財政力指数は0・417で同0・003ポイント上がり、5年ぶりに改善。
 市税や手数料、財産収入など、自治体が自主的に収入できる財源が歳入総額に占める割合で、財政基盤の安定度を表す自主財源比率は34・4%で同1・6ポイント悪化した。
 返済額の70%を国が負担する有利な借金である合併特例債は、約61億円を発行し、建設事業にかかる発行可能額約460億7千万円のうち83・8%に当たる約386億円が発行済み。18年度以降の発行可能額は約75億円となる。


交付税9億円減、市債30億円増

 歳入総額は739億9218万円で前期比2・4%増、このうち自主財源は254億4635万円で同2・2%減、依存財源は485億4583万円で5・0%増となった。
 自主財源のうち市税は、151億1572万円で同3・1%増。製造業や建設業が好調で、法人市民税が10億8773万円と同19・8%増、一部企業の活発な設備投資で固定資産税が同4・9%増えた。繰越金は42億511万円で同10・6%減、繰入金は21億4574万円で同67・5%減、使用料・手数料は13億1724万円で同6・5%減った。
 依存財源のうち地方交付税は220億104万円で同4・0%減、市債は101億5480万円で同42・4%増、国庫支出金が80億7414万円で同2・1%増、地方消費税交付金が23億424万円で同5・2%増。地方交付税の減額を市債で補った格好。
 歳出総額は722億6043万円で同5・4%増。このうち義務的経費が310億7303万円と同1・7%減、投資的経費が114億7461万円で同36・6%増、その他の経費が291億5617万円で同3・9%増。
 義務的経費のうち、公的扶助に充てる扶助費は、国の臨時福祉給付金事業などの終了などで127億4404万円と同3・4%増、借入金の返済に充てる公債費は繰上償還(返済)の効果で85億423万円と同0・9%減となったが、人件費は手当の支給割合の引き上げなどで98億2476万円と同0・02%増の微増。歳出総額に占める義務的経費の割合は43・3%と同3・1ポイント低下した。


トップへ戻る