郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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年会費に支えられて黒字
鶴岡まちキネ 再開から1年

 鶴岡まちなかキネマが再開して今年3月25日で1年が経った。入館者数は3月22日時点で延べ2万1144人と目標の2万人を超えた。収支は入場料だけでは赤字となったが、サポーター会員約600人の年会費でかろうじて黒字を確保した。2年目も黒字を目指すが、サポーター会員の更新は現時点で半数以下にとどまり、再開1年目に比べて鈍る客足や光熱費の高止まりなど不安要素は多く、楽観はできない。(編集部課長・土田哲史)

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会員600人が支え、目標を上回る2万人超が入館した

「RRR」が入館者数1位

 まちキネを運営する山王まちづくり(株)(三浦新代表取締役)によると、入館者数が多かった上位10作品は①「RRR」1489人②「荒野に希望の灯をともす」942人③「食の安全を守る人々」593人④「わが青春尽きるとも」416人⑤「レジェンド&バタフライ」405人⑥「土を喰らう十二か月」399人⑦「福田村事件」398人⑧「小さき麦の花」305人⑨「成熟」281人⑩「山女」274人―だった。
 上映した作品は180本以上。食や福祉に関係した作品が多いが、ヒット作はアクション、ドキュメンタリー、恋愛などジャンルはばらばら。どの作品がヒットするかは封切りまで分からなかった。さまざまな好みに対応できるように幅広い作品を上映した。
 ③④⑧と11位の「夢見る小学校」213人は、市民の提案を受けた作品。大手映画館ではできない、市民目線の作品選びが客足につながった。

俳優らが自腹登壇で応援

 苦境が続く地方都市の映画館を応援したい、という映画関係者にも支えられた。俳優の井浦新や片桐はいり、野辺富三、梶本瑞希、遠藤隆太、監督の大友啓史、川瀬陽太、福永壮志、リム・カーワイ、中村公彦、小原浩靖、三原光尋、足達澄子、秋山純、沖田修一らが登壇した舞台あいさつは、3月24日までに計33回に上った。ほとんどが出演料無しで交通費も自腹だった。
 この1年で熱心に来館する常連客が定着した一方、普段あまり映画を見ない層を、いかに呼び込むかが大きな課題となった。観客が「良い映画だった」と高く評価しても、客足が伸びない作品は少なくなかった。良質の映画をそろえても、アピールが足りなかった、と痛感している。
 三浦代表取締役は「市民の支援で復活できた映画館。市民みんなの映画館と思ってもらえるように活動したい。1年目を終えて再開当初の熱気は冷めつつある。市民が見たいという映画の要望に応え、運営を続けられるようにしたい」と話す。

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