郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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全文掲載

新年度予算案
新産業団地や道の駅など整備
鶴岡市 総額807億円で過去最大

 鶴岡市は総額807億7千万円の2025年度一般会計当初予算案を、同市議会3月定例会本会議に上程した。総額は24年度当初より71億円9・6%増え、20年度の740億8400万円を上回る過去最大となった。道の駅あつみの移転整備、加茂水族館の改築、新産業団地の開発などで、普通建設事業費が大幅に増えたことが要因。図書館本館や朝暘第二小学校跡地のコミュニティ・子育て拠点の整備にも取り組む。(編集部課長・土田哲史)

普通建設事業費、前年比3割増

 25年度予算は、第2次市総合計画後期基本計画(2024年度~28年度)で特に重点的に取り組む「5つの加速化アクション」に沿って配分した。

表

 同アクションでは、若者世代の子育て支援や経済的な負担の軽減、企業立地や産業支援、創業支援による雇用の確保などを強化し、若者と子育て世代に選ばれるまちづくりを進め、誰一人も取り残さずに多様な価値観を認め合う、皆が暮らしやすい創造と伝統の鶴岡を目指す。
 予算規模が過去最大となった要因を歳出の性質別に見ると、最も影響したのは公共施設整備などに充てる普通建設事業費が104億3400万円と、24年度より24億9500万円31・4%増えたこと。
 24年度は、朝暘第五小学校改築事業と市朝日庁舎改築事業が普通建設事業費を押し上げたが、両事業ともほぼ完成が見えたため、25年度は朝暘第五小学校改築事業に4億3760万円、市朝日庁舎改築事業に3億6455万円の計8億215万円に、前年度より20億2090万円71・6%減額された。
 しかし、25年度から整備が本格化する道の駅あつみ移転整備事業に15億9907万円、加茂水族館改築事業に13億3944万円、新産業団地の開発推進事業に6億6230万円と大幅に上積みされ、3事業で計36億81万円へと同30億17万円499・5%も増えた。
 物件費が135億3200万円と、同32億2800万円31・3%増えたことも予算額を押し上げた。物価高や賃金上昇による施設の維持管理費と委託料の増加、小中学校のタブレット端末の更新などが影響した。
 人件費、扶助費、公債費の合計で任意に削減できない義務的経費は、355億6200万円と同12億5500万円3・7%増えたが、予算総額に占める割合は44・0%に同2・6ポイント下がった。
 義務的経費が増えた要因は、賃金上昇による職員給や議員報酬、会計年度任用職員などの人件費が124億6500万円に同5億5400万円4・6%増えたことと、扶助費が148億4800万円に同8億6800万円6・2%増えたため。扶助費の増加要因は、高齢化の影響に加え、児童手当の対象を24年10月から高校生まで拡大し、通年化したことなど。
 借入金の元金や利子の返済に充てる公債費は、23年度をピークに減少に転じたため、25年度は82億4900万円と同1億6700万円2・0%減った。
 皆川治市長は20日の定例会見で「鶴岡の創造と伝統のまちづくりのための、トータルシステム予算。行政評価を踏まえて予算を編成した。データに基づいて成果を上げようと取り組んでいる」と話した。

国際村改修や図書館も

 公共施設整備などの主要事業は次の通り。
道の駅あつみ移転整備事業(継続)15億9907万円は、用地を取得して整備に着手する。
加茂水族館改築事業(継続)13億3944万円は、26年度の改修、開館に向けて改築工事を進める。
産業団地開発推進事業(継続)6億6230万円は、新産業団地を鶴岡西工業団地の隣に開発するため、土地の造成工事などを行う。
多文化共生推進事業(新規)5億2253万円は、出羽庄内国際村に交流や調理のスペースを設ける。
朝暘第五小学校改築事業(継続)4億3760万円は、25年度中の完全竣工に向けて、グラウンドとプールを整備する。
朝日庁舎改築事業(継続)3億6455万円は、6月30日の開設に向けて旧庁舎を解体し、車庫を改修する。
コミュニティセンター改修事業(継続)3億1187万円は湯野浜コミセンを改修し、朝日中央コミセン改修の実施設計を行う。
道路照明灯改修事業(継続)2億8000万円は、照明灯のLED化を進める。
スポーツ施設改修事業(継続)2億2310万円は、小真木原陸上競技場など老朽化市有施設を改修する。
庁舎管理施設改修等事業(継続)1億5500万円は、市の藤島庁舎と櫛引庁舎の照明をLEDにする。
歴史的建造物保存事業(継続)1億2102万円は、国史跡・松ケ岡開墾場の貯桑土蔵の保存修理、市史跡・安倍家住宅の屋根ふき替え、県指定文化財・旧遠藤家住宅の保存修理などを行う。
小学校・中学校大規模改修事業(継続)1億1007万円は、老朽化が進んでいる小中学校15校で、校舎の改修や照明のLED化、冷房の改修などを行う。
藤島地域義務教育学校整備事業(継続)6180万円は、同校の整備に向けて地質調査や測量などを行う。
人工芝グラウンド整備事業(継続)4863万円は、旧鶴岡病院を解体し、跡地に造る人工芝グラウンドの基本設計と実施設計を行う。
コミュニティ・子育て拠点整備事業(継続)3772万円は、朝暘第二小学校跡地に整備するコミュニティ・子育て拠点の基本計画策定と実施設計を行う。
コミュニティセンター整備事業(継続)2773万円は、旧加茂コミセンを解体し、泉地区地域活動センターと羽黒コミセンの機能を集約するための検討委員会を開く。
図書館本館整備事業(継続)2530万円は、整備基本計画を策定する。
第三学区放課後児童クラブ整備事業(継続)2168万円は実施設計を行う。
都市計画道路山王町本町線整備事業(継続)1327万円は、一方通行解除に向けた舗装工事を行う。
移住・定住促進事業(継続)1237万円は、職業を無料で紹介する「つるおか暮らし・しごと支援センター(仮称)」を開設し、移住者向けの短期お試し住宅を増設する。
都市計画道路鶴岡駅錦町線整備事業(継続)1100万円は、全農倉庫南側からエスモール方面に至る同線に歩道を整備する。
やまぶし温泉ゆぽか管理運営事業(継続)960万円は、サウナを改修してオートロウリュを導入する。

普通建設費増で市債2割増

 主な歳入を見ると、市税は157億3100万円(歳入に占める割合19・5%)とし、前年度比9億2200万円6・2%増と見積もった。増額した要因は、市税の約4割を占める個人市民税が55億5800万円と、同6億2500万円12・7%増えたこと。24年度は国の定額減税で税収が減っていた。賃金上昇も加味した。
 法人市民税は8億円で、同3400万円4・4%増を見込んだ。
 固定資産税は71億7200万円で同2億2800万円3・3%増とした。住宅の新築が伸びているため。
 地方交付税は238億5900万円(歳入に占める構成比29・5%)で同7億5200万円3・3%増。地方消費税交付金は33億7800万円(同4・2%)で、同2億7900万円9・0%増。いずれも国の交付見通しを踏まえた。
 長期の借入金に当たる市債は74億1800万円(同9・2%)で、同12億2000万円19・7%増。普通建設事業費が増えたため。
 国庫支出金は113億2700万円(同14・0%)で、同19億5500万円20・9%増。児童手当の対象が高校生まで拡大されて増えた。
 県支出金は59億9200万円(同7・4%)で、同4億7200万円8・5%増。小中学校のタブレット端末更新の補助金で増えた。
 寄付金は28億9800万円(同3・6%)で同4億5600万円18・7%増。寄付金の大半を占めるふるさと納税の伸びを見込んだ。
 繰入金は37億3500万円(同4・6%)で、同17億6100万円89・2%増。財政調整基金からの繰入が9億2000万円と、同2億4000万円35・3%増えた。中期財政見通しによると、新年度は13億2000万円の財源不足となる。
 市税、寄付金、繰入金などの自主財源が歳入に占める割合を示す自主財源比率は34・0%と、同0・5ポイント上がった。
 積立基金の年度末合計残高は114億1600万円で、同32億2800万円22・0%減った。このうち財政調整基金が32億6900万円で、同7億8600万円19・4%減った。
 減債基金は36億7100万円で、同2億6600万円6・8%減。
 市債残高は695億4400万円で、同5億7500万円0・8%減。

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