鶴岡市は総額807億7千万円の2025年度一般会計当初予算案を、同市議会3月定例会本会議に上程した。総額は24年度当初より71億円9・6%増え、20年度の740億8400万円を上回る過去最大となった。道の駅あつみの移転整備、加茂水族館の改築、新産業団地の開発などで、普通建設事業費が大幅に増えたことが要因。図書館本館や朝暘第二小学校跡地のコミュニティ・子育て拠点の整備にも取り組む。(編集部課長・土田哲史)
25年度予算は、第2次市総合計画後期基本計画(2024年度~28年度)で特に重点的に取り組む「5つの加速化アクション」に沿って配分した。
公共施設整備などの主要事業は次の通り。
▼道の駅あつみ移転整備事業(継続)15億9907万円は、用地を取得して整備に着手する。
▼加茂水族館改築事業(継続)13億3944万円は、26年度の改修、開館に向けて改築工事を進める。
▼産業団地開発推進事業(継続)6億6230万円は、新産業団地を鶴岡西工業団地の隣に開発するため、土地の造成工事などを行う。
▼多文化共生推進事業(新規)5億2253万円は、出羽庄内国際村に交流や調理のスペースを設ける。
▼朝暘第五小学校改築事業(継続)4億3760万円は、25年度中の完全竣工に向けて、グラウンドとプールを整備する。
▼朝日庁舎改築事業(継続)3億6455万円は、6月30日の開設に向けて旧庁舎を解体し、車庫を改修する。
▼コミュニティセンター改修事業(継続)3億1187万円は湯野浜コミセンを改修し、朝日中央コミセン改修の実施設計を行う。
▼道路照明灯改修事業(継続)2億8000万円は、照明灯のLED化を進める。
▼スポーツ施設改修事業(継続)2億2310万円は、小真木原陸上競技場など老朽化市有施設を改修する。
▼庁舎管理施設改修等事業(継続)1億5500万円は、市の藤島庁舎と櫛引庁舎の照明をLEDにする。
▼歴史的建造物保存事業(継続)1億2102万円は、国史跡・松ケ岡開墾場の貯桑土蔵の保存修理、市史跡・安倍家住宅の屋根ふき替え、県指定文化財・旧遠藤家住宅の保存修理などを行う。
▼小学校・中学校大規模改修事業(継続)1億1007万円は、老朽化が進んでいる小中学校15校で、校舎の改修や照明のLED化、冷房の改修などを行う。
▼藤島地域義務教育学校整備事業(継続)6180万円は、同校の整備に向けて地質調査や測量などを行う。
▼人工芝グラウンド整備事業(継続)4863万円は、旧鶴岡病院を解体し、跡地に造る人工芝グラウンドの基本設計と実施設計を行う。
▼コミュニティ・子育て拠点整備事業(継続)3772万円は、朝暘第二小学校跡地に整備するコミュニティ・子育て拠点の基本計画策定と実施設計を行う。
▼コミュニティセンター整備事業(継続)2773万円は、旧加茂コミセンを解体し、泉地区地域活動センターと羽黒コミセンの機能を集約するための検討委員会を開く。
▼図書館本館整備事業(継続)2530万円は、整備基本計画を策定する。
▼第三学区放課後児童クラブ整備事業(継続)2168万円は実施設計を行う。
▼都市計画道路山王町本町線整備事業(継続)1327万円は、一方通行解除に向けた舗装工事を行う。
▼移住・定住促進事業(継続)1237万円は、職業を無料で紹介する「つるおか暮らし・しごと支援センター(仮称)」を開設し、移住者向けの短期お試し住宅を増設する。
▼都市計画道路鶴岡駅錦町線整備事業(継続)1100万円は、全農倉庫南側からエスモール方面に至る同線に歩道を整備する。
▼やまぶし温泉ゆぽか管理運営事業(継続)960万円は、サウナを改修してオートロウリュを導入する。
主な歳入を見ると、市税は157億3100万円(歳入に占める割合19・5%)とし、前年度比9億2200万円6・2%増と見積もった。増額した要因は、市税の約4割を占める個人市民税が55億5800万円と、同6億2500万円12・7%増えたこと。24年度は国の定額減税で税収が減っていた。賃金上昇も加味した。
法人市民税は8億円で、同3400万円4・4%増を見込んだ。
固定資産税は71億7200万円で同2億2800万円3・3%増とした。住宅の新築が伸びているため。
地方交付税は238億5900万円(歳入に占める構成比29・5%)で同7億5200万円3・3%増。地方消費税交付金は33億7800万円(同4・2%)で、同2億7900万円9・0%増。いずれも国の交付見通しを踏まえた。
長期の借入金に当たる市債は74億1800万円(同9・2%)で、同12億2000万円19・7%増。普通建設事業費が増えたため。
国庫支出金は113億2700万円(同14・0%)で、同19億5500万円20・9%増。児童手当の対象が高校生まで拡大されて増えた。
県支出金は59億9200万円(同7・4%)で、同4億7200万円8・5%増。小中学校のタブレット端末更新の補助金で増えた。
寄付金は28億9800万円(同3・6%)で同4億5600万円18・7%増。寄付金の大半を占めるふるさと納税の伸びを見込んだ。
繰入金は37億3500万円(同4・6%)で、同17億6100万円89・2%増。財政調整基金からの繰入が9億2000万円と、同2億4000万円35・3%増えた。中期財政見通しによると、新年度は13億2000万円の財源不足となる。
市税、寄付金、繰入金などの自主財源が歳入に占める割合を示す自主財源比率は34・0%と、同0・5ポイント上がった。
積立基金の年度末合計残高は114億1600万円で、同32億2800万円22・0%減った。このうち財政調整基金が32億6900万円で、同7億8600万円19・4%減った。
減債基金は36億7100万円で、同2億6600万円6・8%減。
市債残高は695億4400万円で、同5億7500万円0・8%減。