郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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鶴岡・酒田 市勢を検証〔下〕
立候補に向け動き活発化
市長、市議選 告示まで4カ月余

 任期満了に伴う鶴岡市長選と鶴岡市議選は9月28日の告示(10月5日投開票)が約4カ月後、酒田市議選は10月19日の告示(同26日投開票)が約5カ月後に迫った。鶴岡市長選には元自民党県議の佐藤聡氏(56)=同市茨新田=が立候補を表明し、現職で3選を目指す皆川治氏(50)=同市森片=は市議会6月定例会で立候補を表明するものとみられる。市民の関心も高く、戦いの構図は前回選挙と同じ一騎打ちとなる公算が強まっている。一方、鶴岡、酒田両市議選は、現時点でいずれも立候補予定者が定数を上回る見通しで、選挙戦になることが確実な情勢となっている。(本紙取材班)

 鶴岡市長選挙   前回と同じ一騎打ちの公算

 佐藤聡氏は、鶴岡市長選に立候補する意思を1月に表明した。出馬会見を5月13日に、同市西郷地区農林活性化センターで開いた。
 佐藤氏は「前回の市長選挙では120票差で敗れた。この4年間に多くの現場へ足を運んで声を聞き、もう一度選挙に臨む決意をした。鶴岡は少子化と人口減少が進み、若者と女性の流出に歯止めが掛からない。産業政策に力を入れて若者が回帰する鶴岡とする。日本航空などの経験を生かして鶴岡のトップセールスマンとなり、市職員が力を発揮できる環境作りに取り組む」などと決意を述べた。
 重点施策として①農林水産、製造、観光などの強みを生かした稼げる鶴岡②積極的な投資誘致③男女格差ゼロ④魅力を世界に発信する観光戦略強化⑤教育と子育てへの重点投資⑥福祉体制の整備⑦市長のハラスメント禁止条例の制定―を掲げた。
 政党の公認や推薦を求めず、自身の後援会を基礎にして支持の拡大を図る。自民党系で鶴岡市議会最大会派の創政クラブ(市議9人)と、鶴岡市議会公明党(同3人)が支援し、国民民主党にも支援を求める。
 佐藤氏は、鶴岡南高、早稲田大政治経済学部卒。日本航空勤務を経て、2005年の鶴岡市議選で初当選した。3期目途中で市議を辞職し、15年4月の県議選(鶴岡市区)に自民党公認で立候補して初当選。県議会では農林水産、厚生環境、商工労働観光、建設の各常任委員長などを歴任した。
 県議2期目途中で辞職し、21年10月の鶴岡市長選挙に立候補したが、現職の皆川治氏に120票差で敗れた。
 現職で2期目の皆川治氏(50)=同市森片=は出馬の意思をまだ示していないが、鶴岡市議会6月定例会で出馬を表明するとの見方が多く、4年前の前回選挙と同じ構図で一騎打ちとなる公算が強まっている。
 皆川氏の後援会関係者によると、皆川氏本人も出席して18日午後に出羽庄内国際村で後援会拡大役員会を開く予定で、市長選に向けた今後の体制や方針などが説明される見通しという。

 鶴岡市議会議員選挙   新人が10人超の可能性

 市長選と同日程で行われる鶴岡市議会議員選挙は、定数28に対して、23年の県議会議員選挙への出馬によって空いた2議席が欠員となっており、現職の市議は26人。勇退する現職はいるが、すでに複数の新人が立候補の意思を周囲に示しており、選挙戦となることはほぼ確実とみられている。
 現職の会派別の内訳は、創政クラブが9人、日本共産党鶴岡市議団が4人、鶴岡市議会公明党が3人、市民の声・鶴岡、市民フォーラム、SDGs鶴ケ岡、希望のつどい、リベラルが各2人となっている。
 このうち、現時点で出馬の意思を示しているのは15人。内訳は創政クラブが2人、共産党が4人、公明党が1人、市民の声・鶴岡、市民フォーラム、SDGs鶴ケ岡が各2人、希望のつどい、リベラルが各1人。
 検討中の8人のうち、創政クラブの2人と希望のつどいの1人の計3人は、立候補に前向きな姿勢を示している。残る創政クラブの4人と公明党の1人は、年齢や体調などを考慮して決断する考え。
 勇退は創政クラブ、公明党、リベラルの各1人の計3人が決めた。このため、現職で出馬を表明するのは18~23人となる見込み。
 一方、新人はまだ流動的だが、勇退する公明党の市議が後継候補1人を擁立し、ほかにも地域住民や支援者などの周囲に立候補の意思を示している市民が8人いて、これら9人の出馬が濃厚となっている。ほかにも立候補を模索する動きがあり、これらを含めると新人は10人以上となる可能性がある。
 連合山形鶴岡田川地域協議会では5月9日時点で、現職4人を支援するほか、現職1人、新人1人から支援要請があると話した。
 以上から総合すると、立候補者数は最少で現職18人、新人9人の計27人となり、定数割れとなるが、立候補者数がある程度絞りこまれてから出馬を判断しようとする現職と新人がいるため、定数割れとなる可能性は現時点では低い。
 検討中の現職全員が立候補し、新人も10人以上が立候補すれば、定数28を大幅に上回る大混戦となる可能性もある。
 出馬または検討中の現職23人を地域別に見ると、旧鶴岡地域は市街地が12人、郊外が5人、旧町村地域は6人となっている。
 旧鶴岡地域を小学校区別に見ると、朝暘第三が4人で最多。次いで朝暘第五が3人、朝暘第一が2人、朝暘第二、第四、第六が各1人となっている。
 郊外は大山が3人、大泉と黄金が各1人で、斎、京田、上郷、豊浦、湯野浜、西郷は空白域となっている。
 朝暘第三は複数の新人が立候補を模索しており、激しい集票争いが展開される見通し。旧町村地域は藤島が3人、温海が2人、羽黒が1人。櫛引と朝日は0人だが、新人に立候補を模索する動きがある。

 酒田市議会議員選挙   定数25に30人超出馬か

 酒田市議会議員選挙は定数25に対し、昨年10月の衆院選に立候補した県議会議員の辞職に伴う1月の県議会議員補欠選挙に出馬したことで1議席が欠員となっており、現職の議員は24人。
 5月13日現在で立候補の意思を表明しているのは、現職19人、新人4人の計23人。ほかに現職3人が立候補を前提に検討しており、現職1人はこれから検討に入る。勇退する意向を示している現職は現段階で1人。
 現職で勇退する議員が確定していないため「新人が立候補の意思を表明しづらい」(酒田市・飽海郡区のベテラン県議会議員)状況もある。それを裏付けるように、水面下では新人の擁立を探る動きが複数見られる。
 こうした流動的な面も残ることから、次期市議選は、5人が涙を飲んだ前回市議選(2021年10月)と同様、乱立含みの激戦になる公算が強まっている。
 現職24人の動向を会派別に見ると、立候補の意思を明らかにしている19人の内訳は、自民党と公明党で構成する最大会派の「新政会」が9人中7人、保守系で第2会派の「志友会」が6人全員、会派規程(3人以上)に該当しない団体扱いの「日本共産党酒田市議会議員団」が2人中1人、保守系の「令和会」が2人全員、労組系の「市民の会」が2人中1人、同じく労組系の「市政研究会」が2人全員となっている。
 立候補を前提に検討している3人の内訳は、新政会が2人、市民の会が1人。これから検討に入る1人は無会派の議員。勇退する意向を示している1人は、日本共産党酒田市議会議員団に所属している。同党では、後任の候補者擁立に向け検討を進めており、現有2議席の死守を目指す考え。
 一方、新人で立候補の意思を明らかにしている4人の内訳は、参政党公認が2人、残る2人は無所属での出馬を予定している。
 立候補の意思を明らかにしている現職と新人の計23人を、合併前の旧市町村別に見ると、旧酒田市地域が現職19人中15人と新人4人の計19人。旧3町地域は現職の4人となっている。
 地域別に見ると、大票田の旧酒田市街地のうち、亀ケ崎学区では現職4人が、泉学区では現職3人と新人1人の計4人が立候補の意思を明らかにし、激しい集票争いが展開される見通し。
 前回市議選で候補者が出なかった浜田学区では新人2人が、若浜学区でも新人1人が立候補の意向を示している。松原と松陵の両学区では、現職各1人が立候補の意思を固めている。琢成と富士見の2学区は候補者の空白域となっている。
 最上川以南の川南のうち、宮野浦学区では現職3人が、広野と浜中の両学区では現職各1人が立候補の意思を示している。新堀、黒森、十坂の3学区は空白域となることが予想される。
 川北の旧市郊外周辺のうち、平田学区では現職1人が立候補の意向を示しているが、西荒瀬と鳥海の両学区は空白域となっている。
 旧3町地域のうち、八幡地区は現職2人、松山地区も現職2人、平田地区は現職1人が立候補を予定する。

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