郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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ソライ利用料軽減事業で付帯決議
鶴岡市議会が一般会計予算に

 鶴岡市議会は3月定例会本会議を21日に開き、同市の2024年度一般会計予算案を全会一致で可決したが、予算案に盛り込まれた「遊戯施設利用料軽減事業補助金」(事業費340万円)は「民間事業者に対する公的支援となる印象は拭えない」として、公平性の担保などを求める付帯決議を賛成20、反対5の賛成多数で採択した。

無料屋内遊戯施設の検討を

 遊戯施設利用料軽減事業補助金は、ヤマガタデザイン(株)(鶴岡市播磨、山中大介代表取締役)が運営する屋内遊戯施設「キッズドームソライ」の利用料を、夏期3週間に小学生以下の親子ら約1650組分を無料にするもの。結果を基に今後の事業内容や通年実施の可能性などを検討する。
 付帯決議は、市議会厚生常任委員長の坂本昌栄日本共産党鶴岡市議団市議を筆頭に、SDGs鶴ケ岡の田中宏市議、市民フォーラムの工藤博市議、鶴岡市議会公明党の秋葉雄市議、創政クラブの佐藤博幸市議による連名で提出された。
 遊戯施設利用料軽減事業補助金を「子育て世代の負担軽減とはいえ、実質的には民間に対する公的支援となる印象は拭えない。子育て世代をはじめとする市民ニーズ調査を実施し、その結果を踏まえて鶴岡市に必要な遊戯施設の整備に向けて検討することが望まれる」と指摘した。
 その上で▼子育て世代全般に受益の公平性を担保し、実施すること▼市全体の遊び場整備構想を早急に策定すること▼屋内遊戯施設の整備については市民ニーズを調査し、公設公営を原則とした無料の自由来館施設を含めて早急に検討すること―を求めた。
 採決では、自民党系で最大会派の創政クラブ(議長を除く8人)、第二会派の日本共産党鶴岡市議団(4人)、鶴岡市議会公明党(3人)、SDGs鶴ケ岡と市民フォーラム(各2人)、無所属の阿部寛市議の計20人が賛成し、市民の声・鶴岡(2人)、無所属の本間信一、中沢深雪、佐藤麻里市議の計5人が反対した。
 本間市議は反対の理由を「公設公営の施設では財政を縛ることにならないか心配。今の施設の有効利用や民間との協調で住みよいまちづくりを進めることが重要」と述べた。
 附帯決議に皆川治市長は「これまでの経緯を踏まえつつ、検討、対応していく」などとコメントした。

過去には予算化を見送り

 ソライを巡っては、採算割れになっているとしてヤマガタデザインが19年10月に市に支援を求める要望書を提出したが、当時の市議会が「公益性があろうとも、ほかの企業との整合もある。赤字補てんは理解が得られない」などと疑問の声を上げたことから、市がソライ助成制度の予算化を見送った経緯がある。
 一方、市議会厚生常任委員会と保育施設保護者会代表とで行った22年7月の意見交換会では、保護者会からソライ利用料の補助を求める意見があり、鶴岡市私立幼稚園・認定こども園連合会保護者会は、23年11月にソライの無料化などを求める陳情書を市へ提出するなど、市民からはソライ利用料の軽減や無料化を求める声が出ている。

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