各政党が政治決戦と位置づける今年夏の第27回参議院議員選挙(7月28日任期満了)まで半年を切った。山形県選挙区(改選数1)にはこれまでに、自民党新人で元県議会議員の大内理加氏(61)、再選を目指す無所属で現職の芳賀道也氏(66)、参政党新人で会社経営者の佐藤友昭氏(52)の3人が立候補を表明している。ほかにも擁立を探る動きがあり、戦いの構図はなお流動的だが、立候補を表明した3陣営では支持拡大に向けた動きが熱を帯びている。(編集主幹・菅原宏之)
大内氏は14日、酒田市亀ケ崎の加藤鮎子酒田事務所で「大内さんを応援する市町村議員の会酒田・飽海支部」の設立総会を開いた。県内を9地区に分け、これまでに鶴岡・田川地区など8地区で支部を設立していたが、1月26日に酒田市・飽海郡区(定数5)の県議会議員補欠選挙が行われた影響から、酒田・飽海地区では設立がずれ込んでいた。
会員には、自民党と公明党で組織する酒田市議会内の最大会派「新政会」(9人)の全員と、団体扱いの「令和会」(2人)の1人、無会派1人、遊佐町議会議員1人の計12人が名を連ねた。
総会では、会長に佐藤伸二、副会長に進藤晃と安藤浩夫の3市議を選出。各議員の報告会などに大内氏を招くことや、同氏のために月に1人1回は座談会を開くこと、酒田市と遊佐町でそれぞれ同氏の報告会を開くことなどを決めた。
大内氏はあいさつで「全県で市町村議員の会が立ち上がり、心強く思っている。皆さんと一緒に、この地域の課題解決に力を尽くしていきたい。大変厳しい環境ではあるが、3回目の挑戦であり、今回こそ皆さんのお役に立てるように頑張りたい」と決意を述べた。
大内氏は2021年1月の山形県知事選に自民党本部推薦で、22年7月の前回参議院議員選挙には同党公認で立候補し、いずれも現職に敗れている。
これに先立つ11日には、自民党山形県連(会長・遠藤利明衆議院議員)が参議院議員選挙に向け、衆院山形1区の大内氏の選挙対策本部を発足させている。
自民党県連の関係者や支援者からは「衆議院議員は県内3選挙区の全てで自民党が独占しているが、全県1区の参議院議員選挙と県知事選挙では不戦敗を含め、敗け続けている。まずは3人の代議士が(大内氏を)どこまで本気になって支援できるのかが鍵になる」といった声が聞かれる。
芳賀氏は昨年11月16日に山形市内で開いた「はが道也を支援する県民の会・後援会総会」で出席した支援者約120人に立候補の意思を伝え、12月1日に同市内で記者会見を開いて立候補を正式に表明した。
自民党現職の大沼瑞穂氏らを破り、初陣を飾った前回参議院議員選挙(2019年7月)は、共産党を含む野党統一候補として、無所属で立候補した。現在も無所属で活動しているが、参議院では「国民民主党・新緑風会」に所属している。次期参議院議員選挙は立憲民主、国民民主の両党県連と、連合山形の2党1団体による統一候補となる。
立候補表明後、年末年始は労組系の会合に数多く出席した。毎週末を中心に時間を見つけて頻繁に県内入りし、企業や団体、各種会合に精力的に顔を出すなど、あいさつ回りに注力している。併せて県内各地区に設ける予定の選対組織の設立準備も進めている。
舟山康江参議院議員に加え、庄内では酒田市・飽海郡区の江口暢子、佐藤寿、鶴岡市区の髙橋淳、今野美奈子の4県議会議員、昨年10月の衆議院議員総選挙に立候補し加藤衆議院議員に敗れた石黒覚前県議会議員などの支援を受ける。酒田市・飽海郡区の阿部ひとみ県議会議員は、吉村美栄子県知事と同一歩調を取る。
陣営関係者は「組織に頼るのではなく、前回の参議院議員選挙と同様に、一般有権者一人一人から支えてもらう草の根の運動で支拡大を図りたい」と話す。
佐藤氏は7日、山形市内で記者会見を開き、参政党の公認候補として立候補する意志を正式に表明した。
23日に山形市内で開いた同党山形県連総会であいさつに立ち、3月1日に同市内で開く同党の吉川りな衆議院議員を招いたワークショップ・講演会、街頭演説で支援を訴える予定。
同党県連の選対幹部によると、庄内と最上両地域の13市町村が選挙区となる衆院山形3区では、3月から月に2~3回の割合で街頭演説を始める。
選対幹部は「参政党には衆参合わせて4人の国会議員がいるが、次期参議院議員選挙では新たに5人を当選させ、合わせて9人とする目標を立てている。山形県選挙区での得票目標は3万票。庄内地域では、今年秋に控える鶴岡、酒田両市議会議員選挙に、党公認候補を擁立することを見据え、両市ともそれぞれ3千票の得票を目指していく」と話している。