酒田、鶴岡両市が基本財産額の25%以上を出捐(寄付)する第三セクターのうち、公益・一般財団法人と一般社団法人の計9法人=表=のうち、酒田、鶴岡両市の各1法人が2024年度決算の単年度収支が赤字となった。最終赤字の法人は前期と同じだった。9団体は公益性の高い事業を手掛けているが、運営には事業受託金や補助金などの形で多額の税金が投入され、収益性を問われることが少ない。市民の間からは「両市の支出額が妥当かどうかを含め、事業効果を検証してみる必要がある」「3セク各社は経営努力を重ね、さらなる収益確保に努めるべき」といった声が出ている。(本紙取材班)
酒田市が基本財産額の25%以上を出捐する公益財団法人はさかた文化財団と酒田市スポーツ協会(旧酒田市体育協会)の2法人、同じく一般財団法人は酒田DMOの1法人。当期は、さかた文化財団が2期連続、酒田市スポーツ協会は5期連続で単年度黒字を計上したが、設立3年目の酒田DMOは2期連続の黒字から初めて赤字に転落した。
市が3法人に支出している事業委託料(指定管理委託費を含む)と補助金の総額は2億2843万9千円と、前期の2億1754万2千円から1089万7千円5・0%増えている。
これは酒田文化財団に対する市からの指定管理委託料が前期から増えたこと、酒田DMOへの市負担金が補助金に代わったことなどが要因となっている。
公益財団法人さかた文化財団は、豪雨災害の影響で観光客が減り、土門拳記念館(現土門拳写真美術館)は入館者が減ったが、酒田市美術館の特別展「シルバニアファミリー企画展―シルバニア村のおいしい時間」の入館者が1万7千人を超える大ヒットとなり、収入が2億3208万7千円と前期比6・0%増。支出は2億2961万9千円で同5・5%増。2027年度に迎える開館30周年に向けて「美術館開館30周年特別展準備金」200万円を積み立てた。
単年度収支は246万7千円の黒字で、次期繰越収支差額は1709万5千円となった。
酒田市美術館の収入は1億3843万円、支出は1億3631万4千円で、単年度収支は211万5千円。収入のうち市からの指定管理料が1億919万4千円と同3・6%増で、収入の78・9%を占めた。
入館料収入は1762万円で同13・8%増えた。入館者が4万3758人で同21・6%増と大幅に増えたため。シルバニアファミリー展の集客が大きく、同展の1日平均入館者数は340人と、全体の1日平均入館者数145人の2倍以上だった。
ほかの特別展の入館者は、中山みどりフェルトアート展が7753人、ディズニーキャッツ&ドッグス展が5421人(当期4月から)、画業50年のあゆみ黒井健絵本原画展が4713人、コンドウアキのおしごと展が2624人(当期3月末まで)など。
年間券収入は558万2千円で同7・8%増。年間券販売数は普通会員が1388枚、特別会員が25枚、土門拳との2館パスポート券は79枚売れた。
支出の内訳は事業費支出が1億2825万円、管理費支出が569万6千円。事業費支出のうち特別展を開く費用の委託料支出が5908万9千円で13・6%増、光熱水料が1949万7千円で同4・3%増、給料手当が1553万5千円で同11・7%減など。
土門拳記念館の収入は9365万6千円、支出は9330万4千円で、単年度収支は35万1千円。このうち市からの指定管理料は6028万5千円と同23・3%増え、収入の64・4%を占めた。
入館料収入は1602万5千円で同3・8%増えた。 入館者は2万1962人と同1・5%減った。入館者が減ったのに入館料収入が増えたのは、入館料1200円の特別展を開いていた4~7月に、入館者がコロナ禍前の水準まで増えていたことが影響した。豪雨災害以降は、団体客のキャンセルなどもあり失速した。
個人の一般客や会員の入館者等が減る中、一般団体客は500人増えて2097人になった。台湾や韓国からのバス1台ほどのツアー客が毎週のように来たことや、外航クルーズ船の乗客の観光コースに組み込まれたことが要因。
年間券収入は159万1千円で同3・1%増。年間券販売数は普通会員が262枚、特別会員が16枚、酒田市美術館との2館パスポートが113枚など。土門の作品を他の美術館などの展示に貸し出す作品貸付収入は438万8千円で同38・5%減。
支出の内訳は事業費支出が9085万6千円、管理費支出が219万5千円。事業費支出のうち光熱水料が1868万8千円で同3・1%増、委託料が1289万6千円で同14・5%減、給料手当が1241万3千円で同3・7%増など。
公益財団法人酒田市スポーツ協会は、当期収入が6693万円と前期比882万9千円11・7%減、当期支出は6163万6千円と同980万4千円13・7%減。当期収入から当期支出を差し引くなどした当期収支差額(単年度収支)は456万5千円を計上し、5期連続の黒字となった。
黒字額は、前期の431万9千円から24万6千円5・7%増えた。当期収支差額に、前期繰越収支差額の1417万4千円を加えた、次期繰越収支差額は1873万9千円となる。
当期収支差額で黒字を確保できた要因を見ると――
収入面では▼酒田市のスポーツ振興と底辺拡大のために、同市の企業から100万円の寄付を受けた▼賛助会員が102団体9個人と、前期の100団体8個人から2団体1個人増え、それに伴い賛助金収入が118万円に、前期の111万円から7万円6・3%増えた▼市国体記念体育館に9台ある自動販売機設置事業収入が82万円と、前期の33万円から49万円148・5%増えた―ことなど。
支出面では▼市国体記念体育館の空調機械の整備保守や消防設備の保守点検などからなる委託料が815万7千円と、前期の2257万9千円から1442万2千円63・9%減った▼光熱水費が772万7千円と、前期の928万8千円から156万1千円16・8%減った―ことなどが大きく影響した。
主な収入を見ると、金額が最も多い市からの指定管理事業収入は3922万3千円で、前期から871万4千円18・2%減り、当期収入に占める割合は58・6%と、前期の63・3%から4・7ポイント低下した。
前期は指定管理をしていた市体育館(屋内スケート場・スワンスケートリンク含む)、市国体記念体育館、市飯森山多目的グラウンドの体育3施設のうち、2024年3月末で廃止された市体育館の管理運営業務が無くなり、残る2施設の指定管理委託金収入が3245万3千円と、同544万3千円14・4%減ったことなどが要因となっている。
それに伴い市国体記念体育館と市飯森山多目的グラウンドの体育2施設からの施設使用料収入も495万7千円と、同383万43・6%減った。
市からの補助金収入は1089万4千円で、同157万6千円12・6%減り、当期収入に占める割合は16・3%と、前期の16・5%から0・2ポイント低下した。
市からの事業委託金収入は1352万9千円で、同67万円5・2%増え、当期収入に占める割合は20・2%と、前期の17・0%から3・2ポイント上昇した。
市事業委託金収入が増えたのは、管理を受託している市光ケ丘陸上競技場(屋内走路含む)、同野球場、同テニスコートの光ケ丘体育3施設の管理職員計12人の時給が、最低賃金の引き上げで955円となったことが要因となっている。
このほか加盟33競技団体から登録人数に応じて徴収する加盟団体収入は59万5千円と、同2万1千円3・4%減った。会長・副会長・専務理事・常務理事・監事が負担する理事負担金収入は30万円と、前期と同額となっている。
これに対し主な支出を見ると、金額が最も多い体育2施設の指定管理事業費は3345万6千円で、前期から1140万5千円25・4%減り、当期支出に占める割合は54・3%と、前期の62・8%から8・5ポイント低下した。
主な内訳は、市国体記念体育館の暖房用の灯油3万6650リットル分の燃料費が同389万6千円733・7%増の442万7千円、市国体記念体育館の施設管理職員4人の給与が同78万9千円21・1%増の452万5千円―などだった。
光ケ丘体育3施設の施設管理職員12人の給与は1086万6千円と、同28万1千円2・7%増え、事務局長と正職員3人、パート職員1人の職員給与は1030万7千円と、同100万円10・7%増えている。
加盟33競技団体に交付している競技力向上対策費は、前期から49万8千円9・5%減の475万7千円。内訳は、育成強化費が同2万1千円3・3%減の60万9千円、申請を受けた12団体が対象のチーム・選手育成費が同5千円0・2%増の319万1千円、同2団体が対象のチーム・選手強化費が同80万9千円56・2%減の63万円、国際大会に出場する3個人が対象のトップアスリート育成強化費が13万円。
後藤登喜男事務局長は、今後の課題に、市スポーツ協会が指定管理をしている施設が、23~27年度の契約期間の途中で3施設から2施設に減ってしまい、運営的に厳しい状況に直面していることを挙げる。
その上で「将来的には、市が直営している複数のスポーツ施設の指定管理業務を一括して受注し、運営の安定化につなげたい。まずは光ケ丘体育3施設のうち、市光ケ丘テニスコートを指定管理できるよう、要望している」と話す。
一般財団法人酒田DMOは、当期収入が5522万5千円と、前期比4771万9千円46・4%減り、当期支出は5603万4千円と同2882万円34・0%減った。
当期収入から当期支出を差し引いた当期収支差額は80万9千円を計上し、設立以来2期連続の黒字から初めて赤字に転落した。当期収支差額に、前期繰越収支差額を加えた次期繰越収支差額は2350万1千円となる。
当期収支差額が赤字に転落した要因を見ると、収入面では、昨年7月に発生した豪雨災害や職員の移動・減少の影響などを背景に、自主事業収入が1217万4千円と、前期の4462万2千円から3244万8千円72・7%も減ったこと。
支出面では、観光人材の育成を目的に、自主事業として酒田南高校の生徒5人と教諭2人を台湾・台中市に研修旅行として同行させ、費用の2分の1を負担したことが響いた。自主事業収入が当期収入に占める割合は22・0%で、前期の43・3%から21・3ポイント低下した。
自主事業収入の内訳は――
①着地型観光に向け企画や催事などを受託している酒田観光振興事業収入は129万5千円で、前期の2288万7千円から2159万2千円94・3%減った。
②酒田の物産を国内外で販売し、手数料収入などを得ている地域商社機能強化(物産)事業収入は400万7千円で、同626万6千円から225万9千円36・1%減った。
③台湾からの教育旅行の受け入れ調整などを行っている自主事業調査事業等収入は687万3千円で、同1546万9千円から859万6千円55・6%減った。
①では、欧米豪などの高付加価値旅行者の誘致促進に向けた観光コンテンツ(地域への訪問を促す体験やサービス)の企画・提案・造成を行う「山形県高付加価値旅行者向け観光コンテンツ造成事業」の受託などを担った。
②では、台湾・台中市のスーパー裕毛屋への商品の輸出と販売促進や、農商工事業者などと連携し、米、米粉、メロン、肉、菓子、生鮮食料品、地元食材などの販売、販路拡大に向けた事業などを行った。
③では、台中市立烏日国民中学校の大人8人の教育旅行(昨年7月30日~8月5日)や、同校の生徒9人、教諭など7人の教育旅行(同10月15~19日)の受け入れなどを行った。
市からの観光戦略推進事業負担金収入は前期が4937万円、市からの事業受託料収入と補助金収入は無かったが、当期は同負担金収入が無くなり、酒田市DMO運営費補助金収入3453万7千円に代わった。当期収入に占める割合は62・5%。これに伴い新たに担当した事業のほか、前期に手掛けた事業の中の一部事業も、市DMO運営費補助金収入の中で継続している。
新たに担当した主な事業では、酒田市と台中市との協定締結や、企業などの台中交流の推進に向け、台中市政府と台中旅行業組合などとの協定締結に向けた「台中市等海外協定関係事業」を担った。
前期から引き継いだ主な事業では▼酒田舞娘による観光・物産の広報・販売促進などを行う酒田観光マイスター(酒田舞娘)活用事業▼台湾での台中国際旅行展示会で酒田舞娘が酒田をPRした台湾市場プロモーション事業▼美酒美食のまち酒田の発信や東京での広報活動などを実施した美酒美食ツーリズム対策事業▼全日本空輸㈱のSHONAIブルーアンバサダーの情報発信を支援したブルーアンバサダー活用事業など。
荒井朋之理事長兼事務局長は「当期は職員の移動・減少などがあり、観光庁の補助事業を中心に仕事量を抑えたことから、収入が大きく減ってしまった。25年度は市と連携して26年度から始まる新たな市観光戦略の策定を進めており、持続可能な観光に向け、しっかりとした戦略をまとめたい」と話す。
鶴岡市の第三セクターに該当する非営利法人は、公益財団法人が3法人、一般財団法人が1法人、一般社団法人が2法人の計6法人で前期と同じ。
各団体の24年度決算は、単年度収支で黒字となったのは5法人で、赤字は藤島文化スポーツ事業団の1法人だった。
市が各法人に支出した事業委託料と補助金の合計額は6億2268万9千円で、前期比2645万円4・4%増えた。合計額が増えたのは、物価高や賃上げに伴う経費の増額や、昨年の豪雨災害に対応する観光キャンペーンなどが背景にある。
一般財団法人鶴岡市開発公社は、大山工業団地などの土地売却が無く、収入は12億1670万1千円で前期比2・4%減。支出も11億7106万9千円と同5・2%減で、単年度収支は4563万1千円、次期繰越収支差額は5億5502万9千円となった。
同公社の事業は▼土地・施設の処分と管理▼施設管理――の大きく二つで、施設管理事業は①勤労者会館②駅前自転車駐車場③鶴岡アートフォーラム④加茂水族館⑤駅前再開発ビル駐車場⑥駅前再開発ビル⑦中央工業団地水道⑧市文化会館がある。
このうち加茂水族館と中央工業団地水道は、鶴岡市から指定管理料を受けずに自前の収入で事業を行い、修繕等にかかった費用と現金を合わせた金額を、同市に寄付金として入れている。
他の6事業は、使用料等の収入が同市に直接入り、市からの指定管理料である委託料収益で事業を行っている。光熱水費と電気料も同市が直接負担して、各事業の収支は多少の黒字となっている。委託料収益は2億8904万1千円で同4・4%増えた。委託料の収入に占める割合は23・7%で同22・2%から1・5ポイント上がった。
加茂水族館管理運営事業は、決算額が6億7030万9千円で同13・5%増。入館者が36万1995人で同5・4%減ったが、入館料収入は3億9148万7千円と同26・0%増えた。7月1日から一般入館料を千円から1500円に500円値上げしたため。売店収益と食堂収益は減ったものの、同館の事業収益は6億5233万7千円と同12・8%増えた。
バックヤードツアーやアザラシの餌やりなどが好評。カプセルトイを設置して400万円以上売り上げるなど雑収益が約1800万円。
老朽化した施設の資本的修繕にかかった費用と現金を合わせて、前期より3千万円増の約6500万円を、鶴岡市に寄付した。
鶴岡中央、鶴岡西の両工業団地の企業に工業用水を供給する中央工業団地水道管理運営事業は、決算額2億3670万2千円で同微減。年間給水量が465万1746立方メートルで同1・4%増え、水道料収入は2億1516万4千円と同1・8%増えた。約5千万円を同市に寄付した。
NPO法人鶴岡市芸術文化協会とタクトつるおか共同企業体を作って管理運営している同市文化会館の管理運営事業は、決算額1億3024万9千円で同0・6%減。
同会館の年間利用者は6万4337人で同18・3%減。大ホールと小ホールなど全館の稼働率は81・6%で同82・1%を下回った。使用料収入は1545万3千円で同5・0%減。
本格的な音楽や演劇の鑑賞、体験交流イベントなど幅広い自主事業の開催、アーティストの公演の利用なども順調。地域の創造的文化的活動のための環境づくりに功績のあった公立文化施設を顕彰して全国にPRする「地域創造大賞(総務大臣賞)」を県内で初めて受賞した。
鶴岡アートフォーラム管理運営事業の決算額は、8137万7千円で同23・4%増。年間利用者は6万7365人で同1・6%増、使用料収入は741万6千円で同18・5%増えた。鶴岡ユネスコ食文化創造都市認定10周年を記念して全国巡回の特別展「和食―日本の自然、人々の知恵」を開催したことが要因。
駅前再開発ビル駐車場管理運営事業は、決算額2541万5千円で同5・7%増えた。年間利用駐車台数は20万3256台で同0・9%減ったが、使用料収入は3708万4千円と同3・6%増えた。
駅前再開発ビル管理運営事業は、決算額3970万8千円で同5・9%減。
勤労者会館管理運営事業の決算額は、1047万3千円で同3・4%増。年間利用者は2万5996人で同8・6%増え、使用料収入は363万6千円で同9・3%増えた。
駅前自転車駐車場管理運営事業の決算額は、741万2千円で同0・5%増。年間利用駐輪台数は8万7371台で同2・0%増、使用料収入は331万5千円で同4・0%増えた。
同公社の支出は、事業費支出が11億6259万2千円で同5・1%減、管理費支出が847万6千円で同20・5%減。事業費支出で最も大きいのは委託料の2億912万5千円で同2・6%増。次いで賃金1億2518万6千円で同2・1%増、公共寄付金1億1626万9千円で同23・6%増だった。
公益財団法人出羽庄内国際交流財団は、収入が4863万2千円と同175万7千円3・7%増えた。支出は4645万8千円と同116万7千円2・6%増となった。単年度収支は226万6千円と同68万2千円24・6%増で14期連続の黒字となった。剰余金の蓄積額に相当する一般正味財産期末残高は1939万1千円の黒字を確保している。
増収の主な理由は、韓国語の講座が人気で受講者数が増えたため。これにより外国語講座の事業収入は375万7千円と同111万5千円42・2%増となった。県内自治体の日本語教育講座の課題調査などを目的とした「日本語教育総括コーディネーター業務」を県から受注したことで、県の補助金98万9千円を受けたことも背景にある。
市からの事業受託料は1990万4千円で、同68万7千円3・7%減った。施設の維持管理に要する金額が減った。補助金は2214万5千円で同117万5千円増えた。正規職員が1人増の2人となり上乗せされた。
支出が増えた要因も、正規職員の新規採用により人件費が増えたため。
現在行っている施設の改修工事は26年2月に完了する予定。施設の長寿命化のため防水工事を施し、旧アマゾン民族館の空き部屋を国際交流に使う部屋に改装する。
公益財団法人庄内地域産業振興センターは、収入が3億3841万4千円で同2010万4千円6・3%増えた。支出は3億4994万7千円で1645万8千円同4・5%減った。単年度収支は141万5千円で同99万6千円237・7%増えた。剰余金の蓄積額に相当する一般正味財産期末残高は1587万2千円の黒字となっている。
増収の要因は、がん治療やバイオ事業の研究ための国や県などの補助金が増えたため。既存事業の補助が拡充された。
鶴岡市からの補助金は1億1114万9千円で、同1890万6千円14・5%減となった。研究に使う高額な機械の償却が終わったため減った。受託料は1077万6千円で同82万円8・2%増えた。賃上げにより人件費が増えたことと、物価高に対応するため経費が増やされた。
鶴岡ガストロノミックイノベーション研究所が25年6月に発足し、市の25年度補助金が増えた。
公益財団法人藤島文化スポーツ事業団は芸術文化、生涯学習、スポーツ振興のための事業を行い、収入は2441万8千円で前期比0・2%減、支出は2453万3千円と同2・1%減だった。単年度収支は11万5千円の赤字で、次期繰越収支差額は430万3千円となった。
収入のうち事業収益は1552万5千円で同2・3%減。このうち最も大きいのは、受託料収益の1457万5千円で同0・4%増。鶴岡市からの施設管理受託料が1399万3千円で同0・4%増、健康教室指導等の受託料が58万1千円で同0・2%減。
コンサートチケットの販売や地域連携講座の受講料など自主事業収益は93万5千円で同30・7%減。コンサートは前期3件が当期は2件だったため、コンサートチケット収益は30万6千円、スポーツ普及受講料収益は34万7千円だった。
受取補助金・助成金等が867万3千円で同2・1%増。このうち同市からの受取補助金が849万3千円で前期と同じだった。
支出は事業費支出が1797万円で同3・1%減、管理費支出が656万3千円で同0・9%増えた。
事業を具体的に見ると、芸術文化の普及振興事業は明治ホールコンサートを2回開き入場者は238人。展示は16件で入場者は7491人と前期比4336人137・4%増えた。
生涯学習の普及振興事業は、講義と現地研修をセットにしたヤマ学地域連携講座を5回開き、延べ受講者は講義217人、現地研修193人。寺子屋は子どもの土曜美、少年少女合唱団の二つの教室を定期開催し、加入者は計13人。ほかにおもしろ講座、大人の大学を開催。郷土研究サークルの支援もした。
同記念館の敷地全体が国史跡に指定されたこともあり、見学団体なども増え、入館者は1万3244人と同39・6%増えた。この10年で最も多く、ピークだった2004年の1万5273人に近づいた。
スポーツの普及振興事業は、主催事業のやさしいアーユルヴェーダとヨガを4回に分けて計23回開き、延べ256人が参加した。フルマラソンをチームリレーで走るみんなでフルマラソンは10チーム169人が参加して、前期よりチーム、参加者ともに増えた。
藤島地域の各地域活動センターなどでの運動教室も定期開催した。インストラクター2人の派遣事業は88回で、前期より1回増えた。
市スポーツ協会から運営業務を受託している藤島体育館のトレーニングルームの利用は1万9156人で、同3・7%増えた。フリークライミング利用者は384人で同8・1%減った。
一般社団法人DEGAM鶴岡ツーリズムビューローは、収入が1億3265万円で同1604万円13・8%増となった。支出は1億3007万5千円で同1754万6千円15・6%増となった。単年度収支は257万4千円と同150万7千円36・9%減った。一般正味財産期末残高は2805万2千円の黒字となっている。
収入が増えた要因は、7月の豪雨災害で宿泊のキャンセルや予約控えが深刻となり、市の宿泊促進キャンペーン事業を受注したため。市の補助金は9713万4千円で、同3093万2千円46・7%増となったのも、同キャンペーンの受注による。
市の委託料は1949万1千円で、同562万4千円22・4%減った。観光プラン策定業務の完了により減額となった。
一般社団法人月山畜産振興公社の収入は、4206万6千円で同573万6千円15・8%増となった。支出は4198万2千円で同450万7千円12・0%増えた。単年度収支は8万4千円の黒字で創業以来の黒字を継続している。
前年度は単年度収支を114万5千円の赤字と本紙に回答していたが、実際には内部留保を取り崩して処理したため、決算報告では前年度も27万7千円の黒字を確保していた。繰越利益剰余金は1044万9千円の黒字となっている。
収入が増えた要因は、羽黒山スキー場の営業日数が、前年度の暖冬から一転して雪が十分に降ったことから、63日に前年度より38日増えたため。リフト乗降客数は6万9569人で同5万657人267・9%増えた。営業日数の増加に伴い、市の委託料は1887万9千円に同394万円26・4%増えた。
支出が増えたのは、賃上げに伴う人件費の増加に加え、羽黒山スキー場の営業日数が増えてゲレンデの整備費用が増えたため。資材の高騰で牧草の維持に必要な肥料代が上がったことも影響した。
課題は農家の高齢化と、廃業による預託頭数の減少傾向が続いていること。牛の預託頭数は118頭で前年度比16頭減った。羊は69頭で同13頭減だった。牛を預託した農家の数は27軒で同5軒減った。
同公社では頭数を確保するため、農家への声掛け強化や、庄内以外の農家の牛を受け入れることなどを検討している。