郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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酒田市議選
混戦模様、少数激戦の公算
定数3人超の28人が名乗り

 任期満了に伴う酒田市議会議員選挙は、19日の告示(26日投開票)が目前に迫った。定数25議席に対し、14日までに現職20人、前職1人、新人7人の計28人が立候補の意思を明らかにしている。ほかに立候補の動きは無く、定数を5人上回る30人が立候補した前回市議選(2021年10月)と同様、混戦模様の少数激戦となる公算が強まっている。選挙戦本番を前に、各立候補予定者は決起集会やつじ立ち、街頭演説を行うなど支持拡大に向けた活動を活発化させているが、市民の関心はいまひとつ盛り上がりを欠いている。文中敬称略。(編集主幹・菅原宏之)

動き活発化も関心いまひとつ

 今年1月の県議会議員補欠選挙に立候補した佐藤喜紀(50)=穂積、05年の市町村合併による新酒田市議会議員として当選2回=と、9月に飲酒運転で物損事故を起こした齋藤美昭(59)=若宮町2丁目、同2回=の2人が辞職していることから、欠員は2議席。
 現職23人のうち勇退の意向を示しているのは、無会派の富樫幸宏(69)=山居町2丁目、同5回=、市議会の会派規定(3人以上)に該当しない日本共産党酒田市議会議員団の齋藤周(65)=北千日町、同5回=、同じく会派規定に該当しない労組系の市民の会の後藤泉(70)=麓、同4回=の3人。
 再起を期して立候補の意思を固めている佐藤喜紀を除く4人は、いずれも後継指名をしていない。
 前回市議選で、齋藤美昭は1876票、富樫は1689票、齋藤周は1571票、後藤は1339票をそれぞれ得票した。4人の獲得票は計6475票に上り、各立候補予定者による激しい票の争奪戦が予想される。
 立候補を予定する現職を市議会の会派別に見ると、保守系で自民党・公明党・無所属の議員で構成する最大会派の「新政会」は現有と同じ9人、保守系の無所属議員で構成する第2会派の「志友会」は同6人。
 いずれも会派規定に該当しない、保守系の無所属議員でつくる「令和会」は同2人、労組系の無所属議員でつくる「市政研究会」は同1人、立憲民主党議員が所属する「市民の会」と、「日本共産党酒田市議会議員団」は、それぞれ1人減の各1人となっている。
 一方、前職の1人は無所属で立候補する。新人7人のうち6人は無所属、残る1人は日本維新の会公認での立候補を予定している。
 有権者数は9月1日現在8万1365人(男3万8892人、女4万2473人)。前回市議選が行われた21年同日の8万6099人(男4万0863人、女4万5236人)から4734人5・5%減っている。

泉、亀ケ崎小学区は激戦

 立候補予定者を旧市町別に見ると=表参照=、大票田の旧酒田市地域(有権者数は9月1日現在6万9381人)では、現職14人と前職1人、新人6人の計21人が、立候補に向け準備を進めている。

表
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 同地域市街地のうち泉小学区は、4人がひしめく最激戦区となる見通し。持続可能な財政運営を訴えて支持拡大を図る新政会の進藤晃(当選3回)と、社会基盤整備の推進を掲げる志友会の冨樫覚(同2回)の現職2人に、小学校教諭などを務めた不登校生スクール経営の今井久美子、東北公益文科大学非常勤講師の佐藤千佳夫の新人2人が、名乗りを上げている。
 亀ケ崎小学区でも、激しい集票争いが予想されている。3千票超の得票を目標に掲げる日本共産党酒田市議会議員団の市原栄子(同5回)、中心商店街の再生を訴える令和会の市村浩一(同3回)、前回選の無所属から立憲民主党公認で立候補する市民の会の武田恵子(同4回)、農林水産の持続性強化を主張する新政会の松本国博(同2回)の現職4人がしのぎを削る。
 松原小学区では、公明党公認で議長を務める新政会の佐藤猛(同5回)が6選を目指し、新人で酒田第三中学校と酒田工業高校の同級生が支援する団体職員の古家優が立候補を予定する。
 浜田小学区では、酒田市・飽海郡区選出の江口暢子県議会議員などが支援する自営業のガンバリーニ杏子と、同学区内の一部自治会長などから支援を受ける印刷会社経営の杉山道弘の新人2人が議席獲得を目指す。
 若浜小学区では、泉小学区から住所を移した市政研究会の佐藤弘(同2回)が、県教組酒田地区支部などの労組票を手堅くまとめる。
松陵小学区では、酒田青年会議所の一部などから支援を受ける令和会の大壁洋平(同2回)が立つ。
 琢成、富士見の両小学区は立候補予定者の空白域となる見通しで、各立候補予定者が集票に向け攻勢を強めることが予想される。

旧八幡、松山両地域も注目

 旧酒田市地域の郊外周辺部では、最上川以南の川南地区のうち宮野浦小学区は、住んで良かったと思えるまちづくりを掲げる新政会の齋藤直(同3回)と、地域農業・漁業の振興策を訴える志友会の田中斉(同5回)の現職2人が競り合う。
 浜中小学区は、議長経験者で新政会の髙橋千代夫(同5回)が6選を目指して立候補。広野小学区は、産業振興を主張する新政会の伊藤欣哉(同1回)が、地元票を手堅くまとめる。
 川北地区の北東部のうち西荒瀬小学区は、前職の佐藤喜が地元を中心に幅広く浸透する。平田小学区は、副議長で山形新幹線の庄内延伸実現を訴える志友会の池田博夫(同3回)が立つ。鳥海小学区は、勇退する富樫から個人的な支援を受ける新人で会社役員の守屋紀彦が準備を進める。新堀、黒森、十坂の3小学校区は空白域となる見通し。
 旧3町地域の八幡地域(同4196人)では、大雨災害からの早期復旧・復興を訴える新政会の安藤浩夫(同2回)、公明党公認で子育て支援の充実を掲げる新政会の遠田敏子(同1回)、災害からの復旧・復興を主張する志友会の後藤啓(同1回)の現職3人が争う。
 松山地域(同3153人)では、もうかる農業への支援を主張する新政会の佐藤伸二(同3回)と、中山間地域の活性化を訴える志友会の田中廣(同5回)の現職2人に、新人で人材派遣会社を経営する日本維新の会公認の小川隆一が、前回選に続いて挑む。
 平田地域(同4635人)からは、前回選で3269票を得票してトップ当選した志友会の後藤仁(同5回)が、4年前と同様ただ一人立候補を予定する。

投票率は前回選下回るか

 酒田市議選の投票率は、市町村合併直後の05年11月が72・44%、09年同月が72・14%と70%台を維持していたものの、13年同月は54・36%と旧市時代を含めて過去最低を記録した。
 17年10月は57・74%と13年を3・38ポイント上回り、前回21年同月は66・27%と17年を8・53ポイント上回るなど、2回連続で改善しているが、当初の投票率には届いていない。
 その要因に、複数の市民からは▼09年11月までは酒田市長選と同日程で実施していたが、13年同月から単独実施に変わった▼議員の質の劣化や、不十分な行政の監視機能への不満から議会への信頼が揺らいでいる―といった指摘が出ている。
 今回の市議選投票率について、ある立候補予定者の陣営関係者は「定数を上回るのは3人の可能性が高いことから、現職の各陣営に危機感は感じられない。市民の関心も低調で、投票率は前回選を下回ると予想している」と話した。


酒田市議選立候補予定者と重視する政策


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