高速道の南北県境付近で整備が進む道の駅、世界トップクラスの繁殖施設を備えて再開する加茂水族館、野生害獣の獣肉加工、午年御縁年を迎えた羽黒山の観光ガイドの各代表に、新年の抱負を伺った。

(株)夕陽コミュニティ
代表取締役
長坂 紳一さん
鶴岡市温海地域の道の駅が移転する「道の駅あつみ」が、日本海沿岸東北自動車道の鼠ケ関インターチェンジ付近で今月着工し、来年4月に開業を予定している。建設、管理、運営を一括して行うDBO(デザイン・ビルド・オペレート)方式により、(株)庄交コーポレーションが代表企業の(株)夕陽コミュニティが整備する。
新しい道の駅は、船や魚を模した滑り台などの大型遊具をメインに、芝生のくつろぎ広場や市が整備する親水公園などを備えた、親子3世代で楽しめる「日本海の食と遊びのテーマパークあつみ」を目指している。
食では「日本海の台所」としてラーメンや海鮮丼、紅エビ専門店などの地元飲食店が入る。道の駅の愛称「うぇるかぶ」の元になった温海かぶなどの特産品を販売し、地場産品の6次化加工施設も造る。開業に向けて、地域の生産者と総菜や加工品を開発したい。
道の駅あつみは庄内の南の玄関口。道の駅を介して庄内に観光で人を呼び込む。そのためには地元の人はもちろん、庄内地域全体で連携して準備していきたい。

共同企業体
ジオ鳥海パートナーズ代表
近藤 司さん
遊佐町の「道の駅鳥海」が、日本海沿岸東北自動車道の遊佐鳥海インターチェンジ付近で今春着工する。2027年度初頭の開業を目指す。施設は町が整備し、(株)庄交コーポレーションが代表企業の当企業体が指定管理者として運営する。
道の駅の愛称が「えっぺけ」に決まった。愛称のとおり、遊佐の食を楽しめ、外に発信していける施設にする。そのためには地域の協力が不可欠。町民、農漁業者、地場企業などとの連携を密にしていきたい。
新しい道の駅では産直と物販を拡大し、地場の食材の料理などの飲食コーナーも充実する。遊佐は酒どころで、特にウイスキーは蒸留所が二つもある。蒸留所巡りやウイスキーと食材の組み合わせなど、土地ならではの楽しみ方を発信したい。
鳥海山・飛島ジオパークを満喫できる施設にすることも重要。道の駅のキャッチコピーは「鳥海山で待ち合わせ」。道の駅を介して人と人、人と物、人と地域がつながっていくことを目指す。庄内の北の玄関口として、庄内に人を呼ぶための拠点にしていきたい。

いでは観光ガイドの会
会長
田村 廣実さん
新年は12年に一度の羽黒山午歳御縁年。羽黒山が祭る伊氐波神と稲倉魂命が午年に現れたことに由来し、参拝すると12年分のご利益を授かるとされる。特別コースを計画しているので、羽黒山に来て病気やけが、災いの無い幸せな一年にしてほしい。
羽黒五重塔の改修が完了し、2025年度のガイドの申し込み件数は11月までに前年度比223%に増えた。米国の旅行ガイドブック『フォーダーズトラベル』がウェブサイトで鶴岡市を紹介したため、新年は国内外からさらに多くの観光客が訪れると見込まれる。会では欧米の観光客に応えるため、11年に元英語教師など6人で英語班を組織。25年はクマよけスプレーや鈴、アラームを携行してクマ対策を徹底した。
羽黒町手向で生まれ育ち、鶴岡市職員を退職後、旧手向地区公民館長を4年間務めた。羽黒の誇り高い文化と魅力を伝えたいと、2015年に当ガイドの会に入り、羽黒山を300回以上案内してきた。19年から会長。宗教や信仰などの堅い話題を、ユーモアを交えて楽しく伝えるように努めている。

たがわジビエ
猟師
佐藤 昌志さん

たがわジビエ
猟師
加藤 聡さん
庄内唯一となる野生獣肉の精肉処理施設「たがわジビエ」を昨年3月に開設した。狩猟で捕獲したイノシシなどを解体し、精肉に加工して飲食店に卸している。
これまでにイノシシ16頭を処理して、庄内の31店を含む東京と隣県の飲食店80店と取り引きした。冬に捕獲したイノシシは脂がのって肉質が良く、飲食店の評判はとても良い。
元々、狩猟した肉を自家消費していたが、余らせていた。せっかくの命を頂くのにもったいないと、佐藤が店主の鶴岡市本町の飲食店ハレトケで販売できるように、たがわジビエを開設した。今では自店で消費するより卸す方が多い。
畑を荒らすイノシシの獣害が庄内で増えてきており、自治会などから一年中捕獲の依頼を受けている。しかし春夏のイノシシはやせていて味が落ちるため、飲食店の受けが悪い。春夏のイノシシでも無駄にしないように、新年はペットフードを開発したい。

加茂水族館
館長
奥泉 和也さん
加茂水族館は改修工事を3月に終え、4月に再開する予定。本棟南側に新棟を増築し、本棟のレクチャールームと研究所などを新棟に移転する。これによりクラゲの展示面積は、バックヤードを含めて1・8倍に広がる。クラゲは現在の約80種類から約100種類まで増やすことを目指している。
改修工事はクラゲの繁殖用設備が全て埋まってしまい、繁殖が限界を迎えたために行っている。展示しているクラゲの約7割は繁殖によっており、展示数を増やすためには、より充実した設備が必要となる。
その肝となるのが、新棟に造った恒温室。部屋の温度を一定に保つことができるので、クラゲの研究と繁殖に欠かせない。今まで恒温室は一つしかなかったが、新棟では従来の倍の広さの恒温室を6室備えた。これだけの設備があるのは世界でも加茂水族館だけ。世界トップクラスのクラゲ飼育と研究ができる。
来館者は県外が7割を占める。水族館に来た人が山形と庄内を知り、また来たいと思われる水族館にしていきたい。