郷土の未来をつくるコミュニティペーパー(山形県庄内地方の地域新聞)
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全文掲載

今春高卒者就職状況
県外志向さらに強まる
庄内 県内就職内定者は6割、300人余
12月末

 庄内の今春高校卒業予定者の就職動向は12月末現在、前年同期より就職を希望する求職者は増えたものの、県外就希望者の増加率が大きく、就職内定者のうち県内に残る生徒の割合「県内定着率」は60・2%と、前年同期の68・4%を8・2ポイントも下回った。内陸に比べて元々高い県外志向、首都圏や他県と比べた時の賃金の低さや交通の便の悪さ、業種や職種の幅の狭さなど、さまざまな要因が指摘されている。(編集副主幹・戸屋桂)

表
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 鶴岡職安管内 

県内定着率7割切る

 鶴岡公共職業安定所管内の来春高卒予定者は1181人で、前年同期比117人9・0%減。このうち求職者は302人で同11人3・5%減った。高卒者に占める求職者の割合は25・6%で、同24・1%から1・5ポイント増加した。求職者も減ったが、高卒者の減り幅の方が大きかったため。
 求職者のうち県内希望者は190人で同36人15・9%減、県外希望者は112人で同25人28・7%増。全求職者に占める割合は、県内希望者が62・9%で同72・2%から9・3ポイント低くなり、県外希望者は37・1%と同27・8%から9・4ポイント高くなった。
 就職内定者は、県内が181人で同31人14・6%減、県外が111人で同24人27・6%増となり、内定者全体は292人で同7人2・3%減となった。
 就職内定率は、県内が95・3%で同93・8%から1・5ポイント増、県外は99・1%で同100%から0・9ポイント減となり、全体では96・7%と同95・5%を1・2ポイント上回った。
 就職内定者のうち県内内定者の割合は62・0%で、同70・9%を8・9ポイント下回った。
 就職未内定者は県内が9人で同5人35・7%減、県外は1人で同1人増となり、全体では10人で同4人28・6%減となった。
 県内求人数は736人で前年同期比38人4・9%減。求人倍率は3・87倍で同3・42倍を4・5ポイント上回った。求人数の減少より県内求職者の減り幅が大きかったことによる。

過去に無い県外希望割合

 求人を産業別に見ると、最も多いのは製造業の261人で同2人0・8%減、次いで建設業が189人で同23人10・8%減。この二つで求人全体の61・1%を占めた。続いて宿泊・飲食サービス業が65人で同7人9・7%減、医療・福祉が57人で同2人3・6%増、卸売・小売業が54人で同9人14・3%減など。
 製造業の中では電子部品・デバイスが58人で同13人28・9%増、輸送用機械器具が30人で同1人3・2%減、食料品が29人で同2人6・5%減、金属製品が27人で同7人20・6%減、電気機械器具が26人で6人30・0%増、繊維工業が16人で同4人20・0%減などだった。
 鶴岡職安管内でこれほど県外での就職を希望する割合が高くなることは珍しい。同じ高校から複数人が同じ企業に応募して内定している例もあり、友達と一緒に就職したかったのか、先輩後輩のつながりなのか、県外希望者が増えた要因は分析できていない。
 鶴岡職安によると、最低賃金が全国的に上がる中、山形県内も上がっているが、県内各職安管内の2025年3月卒業者の初任給を比べると、鶴岡管内の初任給は低い。特に求人の8割以上を占める従業員規模299人以下の企業の初任給には差がある。そのため管内企業に、初任給を上げることが難しい場合は、休日や福利厚生、他の手当など条件面の見直しを呼び掛けた。
 同職安では「初任給のデータは昨年度のものだが、初任給が低くて地元に残ることができなかったのか。地元に残ってもらう取り組みを、地域を挙げて行う必要がある」と話した。
 同職安が、昨年10月に新卒3年目までを対象に開いた「若手社員応援セミナー」で、参加者に鶴岡で就職した理由を聞いたところ、ほとんどの人が「小さいころから鶴岡が好き」「住み続けたい」と答えた。同職安では、高校生になってからでは遅く、小中学生に向けて地元の魅力を伝える啓発活動をしていく必要性も感じた、と話している。

 酒田職安管内 

県内内定者の割合57・6%

 酒田公共職業安定所管内の来春高卒予定者は935人で、前年同期比48人5・4%増。このうち求職者は253人で同25人11・0%増えた。高卒者に占める求職者の割合は27・1%で、同25・7%から1・4ポイント増えた。
 求職者のうち県内希望者は155人で同6人4・0%増、県外希望者は98人で同19人24・1%増。全求職者に占める割合は、県内希望者が61・3%で同65・4%から4・1ポイント減、県外希望者は38・7%で同34・6%から4・1ポイント増えた。求職者が前年同期より増えたことで、県内希望者も増えたが、県外希望者の増加幅がより大きかった。
 就職内定者は、県内が121人で同14人10・4%減、県外が89人で同16人21・9%増。全内定者は210人で同2人1・0%増えた。
 就職内定率は、県内が78・1%と同90・6%から12・5ポイントも低下し、県外は90・8%と同92・4%から1・6ポイント減った。内定者全体では83・0%で、同91・2%から8・2ポイント減った。
 就職内定者のうち県内内定者の割合は57・6%で、同64・9%から7・3ポイント低下した。
 就職未内定者は、県内34人で同142・9%増、県外9人で同50・0%増となり、全体では43人で同115・0%増と昨年同期を大きく上回った。
 県内求人数は708人で、前年同期比23人3・1%減。求人倍率は4・57倍で同4・91倍を0・34ポイント下回った。

基準保ち採用、応募集中

 求人を産業別に見ると、最も多いのは建設業の232人で同24人9・4%減だが、求人全体の32・8%を占めた。次いで製造業の229人で同6人2・6%減、全体の32・3%を占めた。二つを合わせると65・1%になる。続いて、サービス業(ほかに分類されないもの)59人で同5人9・3%増、卸売小売業52人で同4人7・1%減、医療・福祉50人で同1人2・0%増など。
 製造業の中では食料品製造が61人で同4人6・2%減と最も多く、電子部品・デバイスが30人で同増減無し、窯業・土石製品が26人で同1人4・0%増、金属製品26人で同2人8・3%増などが多かった。
 酒田職安によると、12月末の内定率の低さの要因は①人手不足だが、企業は採用基準に満たない場合には採用しない傾向がある②特定の求人に応募が集中して、1回目の選考試験で内定しない生徒が一定数いた―こと。1月に内定をもらった生徒も多く、1月末の内定率は前年同期並みに上がってくる模様。
 県外就職を希望する生徒が増えた理由には「もともと県内他職安管内より県外志向が強い上に、賃金が他県より低いこと、山形市など内陸に比べて庄内は交通の便が悪く、仙台や首都圏に行く時間がかかることも要因の一つではないか」と指摘する。
 高校生に地元企業の魅力をPRし、どうしたら情報を届けることができるのかも考えていくという。

 就職者の多い高校の話 

県外と県内の割合が逆転

 酒田光陵高校は1月30日現在、卒業予定者259人のうち進学希望者は136人で、128人の進学先が決まった。公務員は6人が内定した。民間就職希望者は114人で就職内定者は111人、内定率は97・4%となっている。
 県内外の内訳は、県内希望者が47人で内定者は45人、県外希望者が67人で内定者は66人。昨年に比べて県内が減って県外が増え、県内県外の割合が逆転した。
 コロナ禍で一旦は県内希望者が増えたが、その影響はすでに無い。県外企業は大手が中心で、給料などの待遇が地元企業と大きく違うことも影響したのか、来年度も同じ傾向になるのかは分からない。地元企業も危機感を持ち給料などを上げているが、県外大手とは上げ幅に差がある。
 求人は県内外とも豊富で、今でも選んで応募先を決めることができる。ただし、企業も人手不足とはいえ無理には採用しないで選んでいる。1回目の応募で10人程度が内定をもらえなかった。欠席が多いと厳しい。
 鶴岡工業高校は卒業予定者153人のうち進学が52人で34・0%、公務員を含めた就職が101人で66・0%。12月中に全員の進路が決定した。昨年度も12月中に全員の進路が決まったが、今年度は10日ほど早かった。過去10年平均では就職が74%、進学が26%だが、進学の割合が増えた。
 民間就職は99人。このうち県内が47人で47・5%、県外は52人で52・5%。県内外の割合は過去10年の平均値で県内61%、県外39%だったが、県内外の割合が逆転した。
 ここ一、二年、県外企業はベースアップを前面に押し出して学校に訪問して来る。応募前に企業見学に行くと、住居環境も良く、福利厚生や休日を比べても、県外企業に魅力を感じる。県外大手企業から指定求人をたくさんもらうこともあり、情報も入りやすい。
 地元の有名企業数社は、応募が集中してハードルが高い。地元中小企業のPRが届いていない面もある。
 羽黒高校は1月20日現在、卒業予定者は261人。このうち進学希望者は182人、学校あっせんによる就職希望者は73人で72人が内定した。内定率は98・6%。県内外の内訳は、県内希望者が51人で内定者は50人、県外希望者は22人で全員が内定した。
 応募1回目での内定率は80・6%と、前年同期より数ポイント低かったが、生徒が倍率の高い企業に挑戦した結果。たくさんの求人があるため、対策した上で行きたいところに応募するように指導した。
 求人は九州など遠方の企業を含め、県内外を問わずこれまでに付き合いのない企業からも多数の連絡や訪問があった。
 昨年5月に山形労働局の事業で、庄内の企業49社の仕事内容などを説明してもらう機会を設けた。地元企業の職種などを知ることができ勉強になった。

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