酒田市の一般社団法人酒田観光物産協会(会長=西村修・仮設機材工業(株)代表取締役、会員数約350個人企業団体)は、物産販売振興業務を分離独立して、2026年度から「酒田夢の倶楽(株)」へ移行して再出発する。これに伴い、酒田日和山桜まつりや酒田まつり、さかた夏の縁日まつりの事務局などを担当している観光振興業務は、同市の一般財団法人酒田DMO(荒井朋之代表理事)と統合し、27年度をめどに新たな組織を設立する方向で協議を進めている。(編集主幹・菅原宏之)
酒田観光物産協会は、大型商業施設いろは蔵パークに入居する酒田観光物産館酒田夢の倶楽で、物産品を店頭やネットで販売し、電話やメール、対面での観光案内なども行っている。
会員に昨年12月上旬に行った説明会の資料などによると、新会社は、仮設機材工業と酒田市、酒田商工会議所(加藤聡会頭)の3者が出資する同市の第三セクター酒田まちづくり開発(株)(西村修代表取締役)を承継法人とし、社名を酒田夢の倶楽(株)に変更する。
現行の一般社団法人では、金融機関からの借り入れなどが難しく、会長が個人で担保を差し入れる必要が生じるなど、経営上のリスク要因となっている。それが株式会社になると、増資や金融機関からの借り入れなどが可能となり、財政基盤が安定する。
酒田まちづくり開発は、24年度決算で当期純利益4万6千円を計上し、5期連続で最終黒字を確保している。しかし観光施設などの指定管理事業で、当初想定していた収益を得ることができなかったことから、債務超過となっていた。
こうした現状を踏まえ、仮設機材工業は、酒田市と酒田商工会議所を除く約20社の株式を額面で買い取り、貸付金約2600万円も全額債権放棄することで合意し、債務超過を解消した。
その結果、酒田まちづくり開発の資本金1535万円の出資割合は、仮設機材工業65・5%、市29・3%、酒田商議所5・2%となる。
新会社の代表取締役には西村会長が就く予定。同協会の全職員約20人は新会社に転籍し、物産販売事業に集中できる体制を築く。
物産販売振興業務を分離独立した後の体制については、同協会、酒田DMO、市の3者で協議中。現段階では、27年度にも酒田DMOと統合し、新組織を設立する方向となっている。
今回の組織改編の背景には、同協会が抱える課題と構造的な問題がある。
西村会長は大きく―
①責任体制の不明確さ=会長職が名誉職や当て職であったため、同職の範囲を超えた経営判断が困難だった。職員も、公務員でもなく会社員でもない状態にあり、当事者意識が十分に醸成されにくい。
②脆弱な財政基盤=「山居倉庫酒田夢の倶楽」の指定管理が終了し、年間2千数百万円のテナント料を支払いながら、自主・自立の経営が求められているが、手元資金は3千万円ほどしかない。本来必要とされる月商の約3か月分(約1億円)には及ばず、災害や一時的な売り上げ減少のリスクに備えることが難しい。
③非効率な事業運営=物産販売振興業務は最も重要な収入源だが、繁忙期に催事の段取りや準備に追われる。全職員が物産販売に集中できなければ、年間売上4億円超を達成し、事業を維持拡大していくのは難しい―ことを挙げている。
これを打開し、持続的に発展していくには、物産販売振興業務の株式会社への移行を含む、抜本的な組織改革が不可欠と判断した。