酒田市は、市中心部の中町エリア再生に向けた将来構想「市まちなかグランドデザイン案」を公表し、8日まで意見公募を行っている。同エリアでは、商環境の変化などで人流が減少する中、2021年7月にマリーン5清水屋、23年1月には食品スーパー・ト一屋中町店が閉店し、商業・経済の中心地としての勢いが失われつつある。こうした現状を踏まえデザイン案には、中町エリアを含む中心市街地の現状と課題、目指す街の姿や実現に向けた方策などを盛り込んだ。市は意見公募を経て、3月中にグランドデザインを策定する。(編集主幹・菅原宏之)
同デザイン案によると、中町エリアに設定したのは、中通り商店街や中町中和会商店街のほか、市役所、市民会館、本間家旧本邸などを含めた中町1~3丁目と本町1~3丁目、二番町からなる区域。西端は秋田町通り(吹浦酒田線)、東端は大通り、北端は寺町通り、南端は新井田北側道路(臨港道路)に囲まれた一帯。
人口の減少傾向、高齢化の進行、住居や事業所の郊外への流出、地価の下落など、酒田市の中心市街地が抱える課題の多くは、中町エリアでも色濃く顕在化している、と指摘した。
これらを踏まえ同エリアの課題として▼建物の老朽化・未更新・未活用、住む・働く場所の不足▼若者の来訪頻度の低減によるエリアの活力低下▼人が集う居心地の良い場所の減少▼公共交通の利便性低下▼分散する公共施設の統廃合による適正化―の5点を挙げた。
そして中町エリアの再生に向け、官民連携で進める取り組みの指針「目指すまちの姿」に①暮らしたくなる(働きながら暮らせる)、起業したくなる(起業しやすい)②次代の酒田を担う多様な人材を育てる③居心地が良く、さまざまな人が集い・憩う④車に頼らずとも歩いて暮らすことができる⑤災害に強く、便利が集まる―の5項目を掲げた。
関連して、国内でも多くの地方都市が目指す姿に掲げる「コンパクト・プラス・ネットワーク」(医療・福祉・商業などの生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるよう、地域公共交通と連携して、コンパクトなまちづくりを進めるという考え方)を取り上げた。
その上で、中町エリアを同ネットワークの拠点の核として再生することは、全市的な都市政策の面からも意義があるとした。

旧清水屋の利活用も検討
目指すまちの姿の実現のため、グランドデザイン策定後の日程や具体的な施策、事業の内容・主体・枠組み、人員、資金計画などは、同デザインに共感・参画してくれる人たちと、新たな検討体「まちなかエリアプラットフォーム(仮称)」を設置し運営する。
同プラットフォームは、行政や民間企業、金融機関、商店街、商工会議所などの団体、大学などの学術機関、まちづくりに取り組む個人、市民、移住者、学生などが集い、エリアの価値向上のために、さまざまなことに挑戦できるようにする。
具体的な施策の実行部隊は、同プラットフォームから生まれたプロジェクトチーム(PT)が担う。PTの構成員は、同プラットフォームからの参加者だけでなく、必要に応じて外部からの参加者も想定する。
特に、中町エリア再生の核となる旧マリーン5清水屋の利活用については、独立行政法人都市再生機構(UR)の助言を受けながら、地元経済団体の関係者でつくる「旧清水屋エリアを核とした中心市街地再生協議会」(会長・加藤聡酒田商工会議所会頭)を中心に、鋭意検討を進めるとした。
市は昨年7月に公表した「たたき台」を基に、翌8月からホームページの市民参加型合意形成プラットフォーム「さかポス」で意見募集を始めた。タウンミーティングを8月、11月、今年2月の計3回開いて市民から意見を聞いたほか、まちづくり関連団体や中心商店街、不動産事業者などの関係者から直接聞き取りを行い、市民1千人を対象に市民アンケートも実施してデザイン案をまとめた。
本間宏樹・市都市デザイン課長は「具体的な施策は、26年度に設置する『まちなかエリアプラットフォーム』で検討する。設置時期は、26年度前半の早い段階を想定している」と話した。