鶴岡市は総額791億1千万円の2026年度一般会計当初予算案を、同市議会3月定例会本会議に上程した。総額は過去最大だった25年度当初より16億6千万円2・1%減ったが、過去2番目の規模となった。加茂水族館の改築事業が終了した一方、道の駅あつみの移転整備や新産業団地開発などの大型投資事業が予算規模を押し上げた。物価高や賃上げによる義務的経費の上昇も影響した。(編集部次長・土田哲史)
26年度予算は、昨年10月の市長選挙で当選した佐藤聡市長による初の当初予算案。第2次市総合計画後期基本計画(2024年度~28年度)で定めた施策の大綱に沿って配分した。
施策の大綱は①暮らしと防災②福祉と医療③学びと交流④農・林・水産業⑤商工と観光⑥社会の基盤⑦地域の振興。
これら七つの大綱に加え「総合計画の推進・現下の情勢を踏まえた課題への対応」として、庁舎のデジタル化推進や財政健全化、水道基本料金の減免=表参照=などの物価高騰対策の予算案を盛り込んだ。
予算規模が過去2番目となった要因を歳出の性質別に見ると、最も影響したのは公共施設整備などに充てる普通建設事業費が97億8122万円と過去2番目になったこと。25年度比では6億5279万円6・3%減った。
25年度は、加茂水族館の改築事業が普通建設事業費を押し上げたが、3月に完成した。しかし26年度は、道の駅あつみ移転整備に14億1526万円、新産業団地開発に10億9258万円、人工芝グラウンド整備に9億3808万円、第三学区放課後児童クラブ整備に1億7742万円、第二学区コミュニティセンター移転改築に8140万円、旧朝暘二小跡地のプレーパーク整備に7184万円、藤島地域義務教育学校整備に6460万円などと大型投資事業が相次ぐため、総額が膨らんだ。
賃金上昇や金利の上昇などによる人件費や公債費の増加も予算規模に影響した。人件費、扶助費、公債費の合計で任意に削減できない義務的経費は、362億8787万円と25年度比7億2571万円2・0%増え、予算総額に占める割合は45・9%で同1・9ポイント上がった。
人件費は129億3439万円と同4億6904万円3・8%増えた。正職員と会計年度任用職員の給与改定が影響した。
扶助費は150億131万円と同1億5302万円1・0%増。子どもの教育・保育給付事業や生活保護費が増えた。
借入金の元金や利子の返済に充てる公債費は、83億5218万円と同1億366万円1・3%増。23年度をピークに減少に転じていたが、金利の上昇で利子が増えたため、3年ぶりに前年度を上回った。元金となる市債残高は684億2500万円と、同8億3700万円1・2%減っている。
物件費は119億1011万円と同16億2173万円12・0%減。物価高と賃金上昇で公共施設の維持管理費や委託料が増えたが、小中学校のタブレット端末の更新が終わったため、総額は減った。
公共施設整備などの主要事業は次の通り。
▼道の駅あつみ移転整備事業(継続)14億1526万円は、インフレスライドによる建設工事の増額や親水広場の整備などを行う。27年度の供用開始を目指す。
▼産業団地開発推進事業(継続)10億9258万円は、鶴岡西工業団地の隣接地に約15ヘクタールの新産業団地を整備する。27年度の分譲開始を目指す。
▼人工芝グラウンド整備事業(拡充)9億3808万円は、旧鶴岡病院を解体して跡地に人工芝グラウンドを整備する。
▼中央公民館空調設備改修事業(新規)2億900万円は、開館から41年が経過して老朽化した中央公民館の空調を、配管などの一部を除いて全て更新する。27年4~12月に工事のため休館する。
▼学校給食センター管理運営事業(新規)1億6877万円は、学校給食の米飯の8割とパンの全てを納入している業者が廃業するため、既存の朝日センターを炊飯専用施設に変更し、温海センターに炊飯器を導入する。4月以降の給食は、鶴岡は米飯とパンが交互、藤島、櫛引、朝日、温海センターは米飯のみとなる。
▼第三学区放課後児童クラブ整備事業(継続)1億7742万円は、老朽化した第三学区学童保育所の3施設を集約して改築する。27年9月の開所を目指す。
▼第二学区コミュニティセンター移転改築事業(拡充)8140万円は、旧朝暘二小跡地に第二学区コミセンを移転して中央児童館と連携し、子どもから高齢者までが交流できる拠点として整備する。26年度は実施設計や地質調査などを行う。28年度の利用開始を目指す。
▼プレーパーク整備事業・プレーパーク開設準備事業(拡充)7184万円は、旧朝暘二小跡地に子どもの遊び場を整備する。26年度は実施設計を行う。
▼藤島地域義務教育学校整備事業(拡充)6460万円は、藤島地域に小中一貫の義務教育学校を新築する。26年度は基本計画と基本設計、地質調査を行う。32年度の供用開始を目指す。
主な歳入を見ると、市税は161億1635万円(歳入に占める割合20・4%)とし、前年度比3億8540万円2・4%増と見積もった。増額した要因は、個人市民税が58億3509万円と、同2億7707万円5・0%増えたこと。給与所得と農業所得の増加を見込んだ。
法人市民税は8億9900万円で、同9940万円12・4%増を見込んだ。
固定資産税は71億7248万円で同86万円増とほぼ横ばいに見積もった。
地方交付税は239億598万円(歳入に占める構成比30・2%)で同4707万円0・2%増。地方消費税交付金は36億7580万円(同4・7%)で、同2億9772万円8・8%増。いずれも国の交付見通しを踏まえた。
長期の借入金に当たる市債は71億630万円(同9・0%)で、同3億1190万円4・2%減。加茂水族館改築事業を終え、普通建設事業費が減ったため。
国庫支出金は107億1202万円(同13・5%)で、同6億1457万円5・4%減。各自治体で異なっていた基幹情報システムを、国が標準化する事業が終了したことによる。
県支出金は64億8207万円(同8・2%)で、同4億9019万円8・2%増。県を通じて国から支給される小学校給食費無償化の交付金が増えた。
寄付金は30億9856万円(同3・9%)で同2億96万円6・9%増。寄付金の大半を占めるふるさと納税の伸びを見込んだ。
繰入金は16億2639万円(同2・0%)で、同21億864万円56・5%減。財政調整基金からの繰入が減ったことと、加茂水族館の改築が終了したため。
市税、寄付金、繰入金などの自主財源が歳入に占める割合を示す自主財源比率は32・8%と、同1・2ポイント下がった。
積立基金の年度末合計残高は91億800万円で、同9億5900万円9・5%減った。このうち財政調整基金が23億2500万円で、同8900万円3・7%減った。
減債基金は26億7900万円で、同3億9000万円12・7%減。地域振興基金は16億700万円で、同3億円15・7%減。地域まちづくり未来基金は、一般財源による積み立てが困難となることが見込まれるため廃止し、地域振興基金に統合する。
木村久財政課長は「大きな投資事業が続くが、事務事業の見直しを進めており、収支の改善にも一定程度配慮した予算案となった。水道料金の減免など物価高騰対策も盛り込んだ。国の重点支援交付金の残額は約1億5千万円。残額は補正予算などを組んで物価高騰対策に引き続き取り組んでいく」と話した。